スズキもデータ改ざん、疲弊深刻な生産現場 止まらぬ検査不正、日産はコスト重視が根因

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一方で、分析器のエラーなどにより排ガス値が異常であった場合に手入力で書き換えるなど検査員が書き換えとの認識がないままに処理していたものもあり、今後、社外の専門家による調査・検証により全容の解明を図っていく方針だ。

検査条件を逸脱したデータを有効としていた不正の対象台数は、8月の発表から482台増えて6883台となり、調査対象車種32車種のうち、31車種でデータ不正が発覚。いずれのケースでも、計測器の上で車を走らせて燃費・排ガス試験を行う際に規定された速度から外れている時間が、国が定める許容範囲を超えていた。自動車メーカーが「トレースエラー」と呼ぶ事象だが、当然、再測定をしなければならない。

対象台数が増えたのは、8月の報告後に行われた国土交通省による立ち入り検査で指摘を受け、スズキが排ガス・燃費抜き取り検査に従事する検査員に追加の聞き取り調査を行った結果だ。工場内のサーバーやハードディスクなどの記録媒体を調査したところ、報告書に記載した調査期間以前のデータも残っていることがわかって修正した。

検査員への過度な負担が背景

新たな聞き取り調査では、これまで把握していなかった声も次々上がった。「業務量が多く再測定を行う余裕が無かった」、「再測定を実施すると仕事が増えて皆に迷惑をかけるという雰囲気があった」、「抜き取り検査計画をノルマと考えた」などの証言だ。総じて検査員が業務量を多いと感じ、精神的負担になっていたことが伺える。こうした検査員の過度な負担が不正の一因になったことは否めない。

会見では鈴木社長に対して厳しい質問が相次いだ(撮影:梅谷秀司)

スズキは業務量の増加に対応するため、検査員を増員したり、担当管理職を配置したりするなどの対策を講じているという。スズキは2016年にも燃費データ測定で不正が発覚しており、そのときも鈴木社長は再発防止を誓っていたはずだ。

今回の会見では「当時と企業風土が変わっていないのではないか」との質問も出たが、鈴木社長は「企業風土が変わっていないという指摘はそう映るかもしれない。だが、すべての部門でそうなっているかというと違う。部門ごとに取り組みに温度差があった。もう一回しっかりと見直していく。私がリーダーシップを持ってやっていく」と力を込めた。

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