メトロ・東急、好決算は相直効果だけにあらず 首都圏の鉄道各社で好業績が相次ぐワケ

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「相互直通運転の利便性の向上に加え、景気の影響によるお出かけ需要の活発化が表れた」(東京メトロの奥義光社長)。さらに、空室率の改善といったオフィス需要の回復などから、東京駅や西新宿駅などの利用増が顕著に見られるという。

東急は輸送人員が上半期最高

相互直通運転の相手先である東京急行電鉄(以下、東急電鉄)も好決算に沸く。11月11日に発表した2013年度上半期決算は、売上高こそ5166億円と前年同期比0.5%減となったが、営業利益は同10.3%増の365億円。通期の営業利益予想は従来の580億円から600億円(前期比7.6%増)に上方修正した。600億円の大台に乗せるのは、5期ぶりのことだ。

東急百貨店東横店の閉鎖などが減収要因となったが、利益率の高い不動産収益が増加し、営業利益を押し上げる格好となった。さらに、鉄道(軌道含む)が想定を上回る輸送人員を記録した。4~9月で前年同期比1.7%増の5.6億人と、上半期としては過去最高を更新。年間でも11.1億人(前期比2.2%増)と、当初予想(同2.0%増)から上方修正した。2年連続で過去最高を記録する見通しだ。

武蔵小杉駅直結の東急スクエアには沿線住民も足を運ぶ

「相互直通運転の効果や沿線人口の増加などが寄与」(東急電鉄)した格好だが、中でも、今年4月に武蔵小杉駅に開業した「武蔵小杉東急スクエア」は、当初の見込み以上に集客を生み出した。

98店舗、売り場面積1.1万平方メートルと、どちらかといえばコンパクトな商業施設。主に武蔵小杉駅の利用者が日常的に利用してもらうことを想定していたが、駅直結の商業施設が近隣駅に少なかったこともあり、ふたを開けてみれば「鉄道を利用して多くの方が足を運んでくれている」(東急関係者)。

「相直効果」という想定どおりの追い風だけではなく、景気回復による消費マインドの向上や観光需要の高まりが、両社の好決算に結び付いているようだ。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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