あの鉄道メーカー製、奇想天外「バス」の実力 国際鉄道見本市イノトランスは発想の宝庫だ

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ドイツのシーメンスが製造した近郊列車ブランド「デジロ」の新型車は、運行中の情報をシーメンスのデータセンターがリアルタイムで監視する。「将来発生しそうな故障を事前に察知し、予防的な処置を施すことで、安全性の向上と保守費用の削減を目指す」と、同社の担当者が説明する。今年12月に運行開始予定だが、日本では一足先にJR東日本が山手線新型車両E235系で同様のシステムを採用している。

「特等席」に並んだのは一般的な車両ばかり(記者撮影)

ベルリン市内を縦横無尽に走るSバーンは日本の山手線や中央線のような存在だが、その新型車両も公開された。近年はベルリンも夏の暑さが厳しいらしく、「エアコンが搭載されます」と、開発担当者が胸を張る。列車がいまどこを走っているかをディスプレイで表示する機能も付く。これも山手線など日本の通勤列車では当たり前の話だ。

こうしてみると、日本の鉄道は世界の最先端を走っているようにも思えるが、日本の常識では考えられないような技術を使った展示物もある。たとえば、中国中車が展示する近郊列車は、車両の窓を巨大ディスプレイとして活用し、列車位置情報から広告まで表示することができる。外が見えない地下区間を走る列車なら需要は多いかもしれない。

バスに鉄道のノウハウを採用

シーメンスの鉄道事業と統合することが決まっている仏アルストムは、鉄道車両だけでなくバスも展示した。屋根に設置されたバッテリーから得られる電気を動力として走るという点では、鉄道にも同様の技術があり、親和性は高いのかもしれない。

アプティスの車内。バスとは思えないフラットな床が特徴だ(記者撮影)

「アプティス」と名付けられたバスは、外観も一般的なバスのイメージとはまったく違う。「当社が得意とするトラム(路面電車)のノウハウをふんだんに採用しました」と、同社の担当者が説明する。一般的な路線バスよりも2割大きいという窓から、外の明るい光が車内に注ぎ込む。路線バスは車内に段差があるが、アルストムが開発したバスの床は電車のようにフラットだ。車輪の代わりに4つのタイヤが付いていることを除けば、トラムに見えなくもない。

タイヤが車体の端に付いている理由は、カーブを曲がりやすくするため。一般的な路線バスよりもカーブ性能が25%高いという。さらに前後輪ともカーブを切れる構造のため、歩道に密着して停車することができ、バリアフリーの面でもメリットがある。乗降用のドアは3か所設置されており、乗り降りに要する時間は通常のバスよりも短くてすみそうだ。

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