アップルはこれから何で稼ぐのか? ハードウエア路線を転換する可能性は?
劣勢で好調なiPhone?
アップルを高成長に導いた大きな要因はiPhoneだ。iPhoneは、売上高もさることながら、利益面での貢献が非常に大きい。顧客に対する販売価格は2年契約を前提に、最新モデルの16GB版で199ドル。この価格ですら、170〜180ドルといわれる製造原価を下回っているが、SIMロックフリーのiPhoneは649ドルで販売されている。iPhoneを売れば売るほどアップルの利益率が拡大するという構図だ。
そのiPhoneが、サムスンやグーグルのアンドロイド陣営に押されているとあれば、アップルの先行きが不安視されることも理解できる。実際、2013年第3四半期で、アンドロイドのシェアは81%と前年同期の75%からさらに上昇。一方、アップルのシェアは15%を割り、13%台半ばだ。意外にも、マイクロソフトのウィンドウズフォンのシェアも2%から4%へと倍増している。
スマートフォン市場全体の伸びは、2012年も2013年もおよそ45%で推移しており、急速に拡大する市場の中で、iPhoneの苦戦が際だってきた。そこでアップルはiPhone 5cをリリースし、テコ入れをすることになったわけだ。
しかし、iPhoneは市場全体での苦戦とは裏腹に、販売台数そのものは伸びている。そして販売台数の向上は、アップルが依然として大きなアドバンテージを持っている膨大なアプリとの相乗効果がある。
iPad miniが売れるほど、iPadの利益率は下がる
iPhoneのシェアが低下しても、スマートフォン市場が拡大し続けるかぎり、販売台数自体は順調に推移するだろう。iPhoneビジネスの今後を占う上で、ベンチマークとなるのは日本市場だ。
日本はiPhoneなどのスマートフォン以前から、インターネットに接続できるフィーチャーフォンに慣れ親しんできた。市場の特異性などもあるが、スマートフォンの中でのiPhoneのシェアは6割を超えており、「選ばれるスマートフォン」としての地位を獲得した。
日本の通信会社のiPhone中心のマーケティング戦略、国内メーカーの不振など、さまざまな要因もある。それでもローエンドの端末からスマートフォンへシフトが早く進む日本市場において、iPhoneがトップのブランドであり続けていることには意味がある。アップルが米国やそのほかの地域で、スマートフォンが行き渡ってから、よりiPhoneを売りやすくなる環境が訪れる可能性を示唆しているように思う。
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