東京都が「英語オンリーの村」を建設した理由 海外の街や飛行機内など「リアルさ」を演出
都内の小・中・高等学校による利用を優先するが、他県の団体や、土日を中心に個人の利用も可能。個人利用の場合、アトラクションエリア内の5つの施設を利用して2時間で3500円が標準の利用料だ。年間20万人の受け入れを目指す。
団体利用の場合、児童・生徒8人に1人のイングリッシュスピーカーが付く。イングリッシュスピーカーは「エージェント」と呼ばれ、その国籍は約30カ国に及ぶ。アメリカやイギリス、カナダ、フィリピンなどが中心だが、中には非英語圏のポーランドや、中南米のトリニダード・トバゴなども含まれる。
これはこの施設の特徴の一つでもある。現在では国内に6カ所ほどの「英語村」があるが、大阪府吹田市にある英語村はアメリカ、福島県にある英語村はイギリスと特定の国を再現したものが多い。他方、TGGが再現しようとするのが、多国籍の人々が集まるグローバルな環境だ。英語には国や地域によってなまりもあり、日本人にとって聞き取りにくい場合もある。そうした環境でも臆することなくコミュニケーションをとれるように訓練する狙いがある。
学習のモチベーション維持に活用する
6日のセレモニーには小池百合子・東京都知事も出席。「2020年の東京五輪やその先を見据え、国際社会で活躍できるグローバル人材の育成を積極的に支援していきたい」と語った。
TGGのプログラムを監修した立教大学経営学部の松本茂教授は、これまでの英語教育について、「学校で座学で学び、仲間同士で確認し合うことまではできても、実際に使う機会が少なかった」と指摘する。その実践の場を提供するのが、TGGの役割だ。
とはいっても、TGGのような施設を年に何度も利用できるわけではない。有効に活用するためにはどうしたらいいのか。松本教授は「行ったきりにしないことが大切」と言う。「たとえば言いたかったことを言えなかったら、その理由をしっかり考えて次の学習につなげる。そうした英語学習のモチベーション維持のために使うことができる」(同)。
出足は上々だ。個人利用は年内まで、学校での利用は来年3月までの予約がほぼ埋まっている。修学旅行での利用など、他の自治体からの引き合いも強い。2019年度からは大人向けや企業向けの英語学習、外国人向けの日本語学習の開始も検討中という。
税金も投入したTGG。それに見合う施設になるかどうかは、利用する側の学ぶ姿勢も重要になりそうだ。
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