東京は高給女と低収入男の「未婚アリ地獄」だ 「年収700万超未婚者」の過半が1都3県に住む

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注目すべきは、低年収男性と高年収女性の生涯未婚率だけが大きく伸長している部分です。男性の場合、既婚も含めた全体平均年収レベルである400万円未満の年収では生涯未婚率はすべて5%以上あがっていますし、逆に女性では400万円以上の年収での生涯未婚率が大きく上昇しています。

年収400万円台の女性では生涯未婚率28%、800万円台の女性でも29%と、3人に1人が生涯未婚の女性ということになります。絶対数は少ないですが、1250万~1500万円未満の女性に至っては、36%が生涯未婚です。女性全体の生涯未婚率は2015年の国勢調査では14%ですから、稼ぐ女性たちは全国平均の倍以上未婚であるということです。

生涯未婚率は、45~54歳のいわゆるアラフィフ平均未婚率ですが、では、その下の年代であるアラサー、アラフォーの未婚率はどうなっているでしょうか?

統計上では未婚率は減少しているが…

こちらも同様に5年前と比較してみると、驚く結果が出ました。アラサー、アラフォー年代ともに、女性の未婚率は特に700万~1000万円未満のゾーンにおいて激減していることがわかります。つまり、45歳以上の高年収女性の未婚率は上がっているのに対して、44歳以下の高年収女性の未婚率は下がっているのです。

これはいったいどういうことでしょうか?

この5年間の間に突然、アラサー、アラフォーの高年収女性の婚姻率が上昇したということでしょうか?

残念ながらそうではありません。高年収男性のアラサー、アラフォーでも比較しましたが、ここまでの劇的な変化はありません。そもそもこの年代における婚姻数そのものも増えてはいないのです。確かに、数字の上での未婚率は激減してはいますが、そこにはカラクリがあります。この場合の未婚率とは、有業かつ当該年収の女性総数に対する未婚女性の比率です。母数となる総数が増えることで未婚率が下がったにすぎないのです。

たとえば、アラサー年代での総女性数と未婚女性の実数を見てみると、年収700万~900万円の総女性の数が、1万6000人からほぼ倍増の2万8000人に増加したのに対して、未婚女性の数は、1万2000人から9700人へと、若干減少してはいるもののほとんど変わってはいません。

つまり、もともと結婚していた女性の収入が増えたということです。これは女性のM字カーブ解消現象とも相通じますが、以前のようにアラサー年代で結婚や出産を契機に退職する女性が減り、そのまま就業を継続する人が増え、その結果として高年収女性の絶対数増が実現したのでしょう。

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