「カメラを止めるな!」盗作騒動の法的な論点 大ヒット映画にかけられた著作権侵害疑惑
以上はあくまで法律の理論上の話です。低予算かつ無名キャストばかりの『カメラを止めるな!』がなぜここまでの評価を得ているかといえば、やはりなんといっても作品の構成・ストーリーが人々をあっと驚かせるような独創的で画期的なものだったからといえるでしょう。
この映画については、「とにかくネタバレ厳禁」という口コミが広がっていることが何よりの証拠と言えます。確かに、理屈としてはアイデアや構想、ストーリーそのものは法律では保護されないということになってしまうのですが、とはいえ心情としてはすんなりと納得できないことはよく理解できます。
法律では割り切れないクリエイターの思い
なお、一部には、「『カメラを止めるな!』が大ヒット作となったからタカろうとしているのでは?」という批判もあるようですが、和田氏が訴えている「クリエイターとして到底承服できない」という思いは素直に理解できますし、仮に金銭を得ることが目的であったとしても、そのことで批判されるいわれはないでしょう。
自分たちの作品に依拠した作品が大きな成功を遂げて多額の収益を上げていたら、少しでも分けてほしいと考えることは、人として自然な感情であると思います。
本件が法廷闘争に持ち込まれるかどうか現時点では定かではありません。上田監督サイドが「これはあくまでアイデアを流用したものであって、著作権法上の権利侵害にはあたらない」として押し切るのか、それとも「舞台の脚本に依拠していることは事実だし、映画も大ヒットしているのだから、使用料を支払う」というかたちで和解を目指すのか。異例の大ヒット映画がどこまで興行収入を伸ばすのかということと同等に、今後の決着は注目を集めそうです。
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