「東京五輪」で危ぶまれる「ボクシング」の開催 国際連盟のトップはロシア系マフィア幹部か

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ロシア・マフィアに詳しいプラハ国際関係研究所上級研究員マーク・ガレオッティ氏(英国人)は、ブラザーズ・サークルにしても、シーブズ・イン・ローにしても、組織は基本的に「流動的」だとしており、両方とも便宜的に使われた融通無碍な名称ではないかともみられる。

11月に最終決定か

さらに、IOCにとって困ったのは、ラヒモフ氏が年明け1月27日、AIBAの会長代行に任命されたことだった。

その1週間後、IOCのバッハ会長はIOCがAIBAの腐敗問題を調査すると発表した。しかし、IOCが求めた組織改善策は実行されないままになっている。

そもそもAIBAは、さまざまな問題が噴出して大揺れに揺れてきた。これまでAIBAおよびラヒモフ氏の問題を最も活発に追及してきた米国の「自由欧州放送」(RFE/RL)によると、(1)アゼルバイジャンの建設会社からの借入金約1000万ドル(約11億円)の未返済問題(2)反ドーピング措置の遅延(3)2016年リオデジャネイロ五輪での判定問題――などがある。

リオ五輪での判定問題では、疑惑の判定が多々指摘され、AIBAは36人のジャッジとレフェリーを業務停止処分とした。

未返済金をめぐっては、内部対立が深刻化し、昨年11月に当時の会長、呉経国氏(台湾)が引責辞任。後任にフランコ・ファルチネリ氏(イタリア)が就任したが、今年1月突然辞任した。ラヒモフ会長代行は1月27日の臨時総会の昼食休憩中に理事会で選ばれたという。

ラヒモフ氏は旧ソ連時代にウズベキスタンでボクシングを始めて、コーチとなった。ソ連崩壊後は輸出入ビジネスで財を成し、スポーツ界でも要職に就いた。国際ボクシング連盟では2002年から副会長を務めていた。

会長代行は今年11月の総会までの任期。新会長人事や組織改革など、総会で何が決定されるのか。その結果次第で、IOCは東京五輪でのボクシング種目開催の可否を決めるとみられる。

(文:国際アナリスト 春名幹男)

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「Foresight」編集部

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