テスラ「マスク氏ツイート」は株価操作なのか 非公開に向け、「資金を確保した」と明言

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13日夜に訴訟を起こした時点では、原告側の弁護士らは、マスク氏がツイート時に買収のための資金が実際にはまだ確保されていないことを本人が知っていた、という明確な証拠を挙げることはできなかった。しかし、テスラのその後の声明と行動は、資金調達が不確実なものだったことを暗に示していると主張した。

たとえば、もしマスク氏が言うように、すでに資金が確保されているなら、なぜマスク氏とテスラは、今も銀行やほかのファンド機関と話し合いを行っているのだろうか、といったものだ。

ブログには曖昧な部分がまるでない

マスク氏のブログ記事は曖昧な部分がまるでないと、レナー氏は語る。「ブログは、マスク氏のツイート時に資金が確保されていなかったことを明確にしている」。

キャスレイン氏は、マスク氏自身は資金が確保されている、と信じていることを示すためにサウジに関する説明を投稿したのかもしれない、と語る。証券詐欺訴訟では、株主は被告が株主を欺く目的で行動していたことを証明しなければならない。だが、キャスレイン氏が言うには、米薬剤給付大手オムニケアと労働組合協議会における2015年の米国最高裁判所の決定では、有価証券登録届出書に誤った記載がされていた場合、その株式を発行する企業が責任を負う、ということを明確にしている。

キャスレイン氏は、市場がマスク氏の「暴露」を吸収するようにテスラの株価が急落したことは、マスク氏のツイートが意図的にテスラの価値を上昇させていたと投資家が証明するのに役立つだろう、と話す。16日のマスク氏のブログ記事によってテスラの買収資金が確保されていないという真実が明らかになったとき、この理論の下で株価は修正された。

この種の「是正開示」による株価下落は、通常は証券詐欺訴訟の核心部分となる。それは、虚偽表示の影響がどれほどあったか投資家がわかるようになるためだ。

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