偽Amazon詐欺「騙されても泣き寝入り」の実態 「クリックし間違えたんじゃないですか?」
「アマゾンは、未納料金が発生しない前払いのシステムなんです。クレジットカードの更新などでうまく引き落とせずに未納が発生する場合はありますが、その際もSMSで連絡することは一切ないとのことです」(前出・消費者庁担当者)
詐欺集団に1度でも応じてしまうと、相手にとっては、それこそいいカモだ。何度も手を替え品を替え催促が相次ぐ。
「国税局が調査に入り銀行口座を押さえられますと脅し、預金を下ろしたほうがいい、家に置いておくと押収されるので預かりますよ、と言いくるめて、商品名を“お菓子”として宅配便で送らせようとします。それで数百万円取られたケースもあります」
と前出・消費者庁担当者。
消費者庁によると、実在するアマゾンは本件とは全く無関係という。
増加の一途を辿る架空請求
“偽アマゾン”詐欺の相談事例は多い。
「2014年度に初めて相談があり、2015年度に5件、2016年度が115件、2017年度が1057件と増えています」
そう明かすのは大阪府消費生活センターの担当者。
「理想はメールが来た時点で、相談していただきたいです。アマゾン以外のサイトをかたる詐欺もあり、これもコンビニでプリペイドカードや電子マネーを購入させられるというものが多い」(同担当者)
都内の相談件数は、
「昨年は653件、今年はすでに485件です。特に3月は月間120件と多かった。有料サイト絡みの架空請求があったという相談が大半です」(東京都消費生活総合センターの担当者)
愛知県広報課に、先月6月分のアマゾンをかたる架空請求の相談件数を尋ねると、
「ひと月で43件。20代3件、30代5件、40代13件、50代6件、60代11件、70代4件、不明が1件です。男女比は男性が20件、女性が22件、不明が1件です」
幅広い年齢層、さらに男女限らず被害相談があることからも、詐欺集団が、ランダムに電話番号の回線にSMSを送りつけていることがわかる。
振り込め詐欺などに詳しいアトム市川船橋法律事務所の代表弁護士、高橋裕樹さんは、被害に遭ったお金を取り返すのは難しい、と指摘する。
「50万円以上の被害であれば弁護士をつけて取り戻すというケースもありますが、10万円以下であれば泣き寝入りのケースが圧倒的に多い。相手の特定が困難で裁判費用がかさむため、訴訟はやめたほうがいいです、とアドバイスする形になると思います」(同)