「イタリア鉄道」フランス殴り込みで汚名返上 「遅れる・汚い」印象を払拭できるか

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その中でもイタリアは、既存のイタリア鉄道(FS)が誇る旗艦車両フレッチャロッサと、新規参入の民間会社NTVが刺客として送り込んだ新型列車イタロという2つの最高速度300kmの高速列車が対峙するとあって、当時大きな話題となった。しかもNTV社にはSNCFが株主として絡み、車両はフランス・アルストム製のAGVを採用したことから、これはイタリア対フランスの代理戦争だ、とも騒がれた。

OuigoはTGV版LCCのブランド。パリ市内の発着駅は、ディズニーランド最寄り駅のマルヌラバレ―・チェシー駅だ(筆者撮影)

その報復というわけではないだろうが、こうした経緯もあって、FSは以前より、フランス国内への参入を中長期計画における一つの大きな戦略的目標として掲げてきた。SNCFが鉄道版LCCと言える格安高速列車OUIGOの運行を開始した理由は、一般的には高速バスやLCCへの対抗とよく言われるが、真の目的は、フランス国内に参入を目論むFSを牽制するため、とSNCFは隠さず説明している。フランス側も、イタリアの動向をかなり意識している様子がうかがえる。

フランス側が抵抗姿勢を示したことで、イタリアとしては慎重に、そして今も周到に準備を進めているわけだが、今回、より具体的な形でフランス国内への参入時期などを示したのは、参入を果たした場合に、ある程度の需要と勝算が見込めると判断したからであろう。

車両を追加発注のうわさも

イタリア鉄道の旗艦車両、フレッチャロッサ・ミッレ。欧州各国のシステムに対応する万能車両で、設計最高速度は時速400kmだ(筆者撮影)

現時点ではあくまでうわさレベルの話、という前置きが必要ではあるが、FSはイタリア国内で50編成が営業運転中の最新型車両、フレッチャロッサ・ミッレ(ETR400型)を追加で10編成、製造元の日立レールイタリアへ発注する計画がある、と言われている。

この車両は、欧州標準信号の搭載や異なる4種類の電化方式へ対応したインターオペラビリティに適合した車両であるため、すぐにでも欧州各国での運用が可能となっており、その中には当然ながらフランスやベルギー、オランダも含まれている。準備さえ整えば、イタリアの高速列車が、フランスやその周辺国を走り回る日も近い。

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