dTVはなぜ映画「パンク侍」に乗り出したのか エイベックスの音楽ビジネス戦略がヒント

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「3年前から企画が動き出し、配信事業者が企画制作するとにかく面白いもの、目立つものを作りたいという思いから始まりました。ですから、映画化をはじめから視野に入れていたわけではありません。海外ではNetflixやAmazonが映画と匹敵するような予算とクオリティのオリジナルコンテンツをすでに作り出していますから、日本でも映画並みのコンテンツを配信事業者が手掛けることで、話題になるのではないかという思惑もありました」(伊藤氏)

「劇場ファースト」を選択する理由

では、なぜ劇場ファーストを選択することになったのでしょうか。現在、『パンク侍、斬られて候』』は全国約300スクリーンで展開されています。目標の興行収入は10億円。製作費は明かされていませんが、CG部分などは仕上げのポスプロ作業を含めて約1年にもわたって時間をかけ、配信オリジナル番組の数本分の製作費を費やしています。

さらに、たとえヒットしない場合でもリスクヘッジできる分散型の製作委員会方式ではなく、「dTV」がほぼすべてを被る1社提供です。余計なお世話ですが、初参入の割に思い切ったチャレンジになるのではないかと、「dTV」の番組ラインナップ全体を統括する同社コンテンツプロデュースグループゼネラルマネージャーの笹岡敦氏に採算性について聞いてみました。

國村隼(写真右)の“超キュート”な役どころも見どころです(写真:dTV)

「脚本が完成し、劇場ファーストでも勝負できるコンテンツであると判断し、限定上映なども含めていろいろなスキームを考えました。結果、dTVとして初の試みになる劇場ファーストを選択しました。全国の劇場で公開することによって、dTV会員も足を運ぶ体制も作れます。1社提供にした理由は映画だけでなく、2次利用、3次利用の展開を含めたビジネスモデルを構築しているからです。トータルで考えれば、大きな財産になります」(笹岡氏)

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