なぜライブハウスで飲み物注文が必須なのか

1ドリンク制をめぐる誤解を弁護士が斬る

――ネットでは「風営法を避けるため」と説明されることも多いようですが……?

1ドリンク制と風営法はあまり関係ないのではないでしょうか。ライブハウスの営業について、風営法で関係が深いのは、「特定遊興飲食店営業」です。これは、ナイトクラブの摘発問題をめぐる近年の法改正で新設された営業形態です。

「特定遊興飲食店営業」とは、(1)ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、(2)客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る)で、(3)午前6時後翌日の午前零時前の時間においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く)、とされています。

誤解をおそれずに簡単に説明すると、深夜に酒を提供して、客を遊ばせる施設です。ワンドリンク制は「酒の提供」にほかなりませんから、風営法を避けることにはなりません。

そもそも、「特定遊興飲食店営業」をするには、さまざまな制約がありますので、日をまたぐ前に営業が終わるライブハウスが大多数ではないでしょうか。

ドリンク代「500円」が多い理由

――ということは、クラシックのコンサートでワンドリンク制があまり見られないのは?

コンサートホールは通常、興行場の許可を取得しているでしょうから、わざわざワンドリンク制にして、「コンサートは集客のための手段だ」という形式をとる必要がありません。同じように、ドームなども興行場の許可を取得しているでしょうからワンドリンク制は不要です。

また、飲食店でライブがある場合は、飲食をしないお客さんというのは通常想定されませんので、ワンドリンク制は不要と言えそうです。

――ライブのドリンクは500円のことが多いと思います。高いと批判を受けることもありますが、価格に決まりはあるのでしょうか?

価格設定は自由です。500円というのは、お釣りが出た際の処理が早いからではないでしょうか。会場側にとっても、少なくない収益になっていると考えられます。

若林 翔(わかばやし・しょう)弁護士
顧問弁護士として、風俗、キャバクラ、ホストクラブ等、ナイトビジネス経営者の健全化に助力している。日々、全国から風営法やその周辺法規についての相談が寄せられる。また、店鋪のM&A、刑事事件対応、本番強要や盗撮などの客とのトラブル対応、労働問題等の女性キャストや男性従業員とのトラブル対応等、ナイトビジネスに関わる法務に精通している。
事務所名:弁護士法人グラディアトル法律事務所
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