電力・ガス料金制度改正、見直し議論は難航も
原油をはじめとする燃料価格の急騰による電力・ガス料金上昇を受け、経済産業省が料金制度の見直しに着手した。対象は、燃料費の上下動を料金へ迅速に反映する目的で1996年に導入された電力の燃料費調整制度(ガスは原料費調整制度)。
同制度は利用者への配慮から、調整上限を事業者が料金改定時に設定した基準燃料価格の1・5倍(ガスは1・6倍)までとしている。これに対し、原油価格上昇が続いた今年5月、電気事業連合会の勝俣恒久会長(当時)は「(上限5割の)枠をつくっておくことの是非という問題がある」と、制度に柔軟性を持たせる必要性に言及していた。だが今回の見直し議論は、料金の安定性や変動の平準化が主眼。場合によっては料金調整の自由度が従来より制限される可能性もあり、議論の行方に事業者の警戒感は強い。
また17日に行われた電気事業分科会では、制度の複雑さを指摘する意見も多く出た。現在、燃料費の料金調整は3カ月ごとで、その基準となる平均燃料価格は2四半期前の通関統計実績。このため足元の原油価格が下落していても、2四半期前の急騰分が反映されて料金は値上がりする。新制度で料金変動の平準化を優先し、事業者への配慮で料金に反映しきれなかった燃料急騰分を後で回収する仕組みを入れると、制度はさらに複雑化しかねない。
小委員会が来年1月に提言をまとめ、2009年度から新制度を導入する予定だが、議論の難航も予想される。
(井下健悟 =週刊東洋経済)
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