まさか非核化「ツケ回し」を安易に飲むとは! 安倍首相は「費用負担は当然」と言うが…
では北朝鮮の非核化にはどのくらいの費用が必要になるのか。イギリスのユライゾンSLJキャピタル社が試算したところ、北朝鮮の非核化には10年間で2兆ドル必要との結果が出たという。これは日本円で換算して約220兆円になるが、韓国と折半するとしても、とてつもない巨額な負担になることは間違いない。
しかも日本はすでに、北朝鮮の非核化に巨額の費用を払っている。1994年10月の米朝枠組み合意に基づいて作られた朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)がそれだ。米朝枠組み合意とは、北朝鮮が核拡散防止条約(NTP)締結国にとどまるとともに、IAEAによる核開発の検証や既存および開発中の核施設の稼働凍結・解体を約束する一方で、アメリカは出力1000メガワットの軽水炉2基を供与し、年間50万トンの重油を北朝鮮に供給するというものだった。
だが2002年10月4日、北朝鮮を訪問したジェームズ・ケリー国務次官補(当時)に対して北朝鮮の姜錫柱第一外務次官(当時)が高濃縮ウラン開発計画を宣言。同時に「枠組み合意」の無効を通告した。そして北朝鮮は2003年1月にはNTPからの脱退を宣言し、同年10月には核燃料棒再処理を完了したことを公表。2005年2月には、核兵器の製造に成功したことを発表している。
北朝鮮に請求すべきというのが日本の立場
このように北朝鮮の非核化に失敗したKEDOに対して、日本は国際協力銀行から約473億円の貸付を行い、KEDOが国際協力銀行に支払うべき利息約42億円を負担していた。さらに日本政府としては約4200万ドルを拠出していたが、これらは焦げ付いたままだ。
「国際協力銀行の貸付が焦げ付いた部分は日本政府が補填しているので、すべては税金で賄われている。おそらくは600億円くらいになるのでないか。国民1人あたり500円の負担となる」。外務省条約課長補佐時代にKEDOへの出資金を北朝鮮に請求することについて検証した緒方林太郎前衆議院議員はこう述べる。
「これらの費用は北朝鮮に請求すべきというのが日本の立場だ。しかし実際のところ、当時のアメリカの国内政治情勢などが絡み、なかなか難しい問題だった」(緒方氏)
そもそも、1994年10月の米朝枠組み合意は何が問題だったのか。
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