霞が関エリート官僚の過酷で報われない世界 不人気、不遇、不祥事の三重苦で退職者も続出
働き盛りの20~30代の退職者が増えている点も、霞が関の課題だ。
官僚のなかでもエリートであるキャリアの給料は、「30代前半で手取りは月30万円台後半」(現役キャリア)と決して高くはない。そのため、「大学の同窓会に参加しても、給料がいちばん低くてみじめな気分になる」(国土交通省OB)といい、辞める官僚も相次いでいる。
平均残業時間は民間の2倍以上
そして不遇の象徴が残業の多さだ。厚生労働省の過労死等防止対策白書(2017年版)によると、霞が関の平均残業時間は年間363時間と、民間の154時間の2倍以上。だが「数字以上に残業しているのが実態」と、各省庁の労働組合が参加する、霞が関国家公務員労働組合共闘会議の小池浩之議長は指摘する。
「1人当たり月36時間の残業を前提に国が予算を組んでおり、長時間の残業を申請しても原資がなく認められない。公表の残業時間はあくまで支給した額に基づいたもの」(同)と、統計に出ない大量残業が存在する。
実際に、「残業は多くて月180時間ぐらい。残業代の支給割合は課によって違うが6〜7割」(財務省若手)、「2〜3割しか残業代がつかない課も結構ある。5割支給されたら多いほう。残業の不支給には慣れた」(文部科学省若手)と、悲哀の声が聞こえる。
不遇の例として、出世の遅れもあげられる。官僚の天下りにメスが入り、上の世代が組織に滞留。その結果、10年前と比べて、働き盛りの30代が減り、50代が増えている。現場からも「かつて40代後半といえば官房長になれた歳。今は課長止まり」(総務省40代)と不満の声が上がる。
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