山田ルイ53世が、負けの中に見出した「勝機」

大きく勝って、大きく負けた一発屋芸人たち

世間は気軽に芸人をつかまえて「一発屋」と言うけれど、その「一発」はひとつの発明なのだ(写真:HONZ)

その日、電車に揺られながら、ぼくは迷っていた。これから会う相手にどんなスタンスで話を訊けばいいのか悩んでいたのだ。待ち合わせ場所は新宿小田急百貨店。この中にある書店で、山田ルイ53世の『一発屋芸人列伝』の発売を記念したトークショーが予定されていた。

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『新潮45』連載時に「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した本書は、発売前から重版がかかるほど評判が高く、すでにいくつかの著者インタビューも世に出ていた。その中には現代ビジネスに掲載された石戸諭さんによる素晴らしいインタビュー記事などもあって、いまさら屋上屋を架しても……という思いがあった。

さらに個人的な事情もあった。実は山田ルイ53世は、ぼくが勤めるラジオ局で番組を持っている。ただしそれは地上波ではない。ポッドキャストでの配信番組である。

正確に言えば、かつては地上波でワイド番組を持っていたものの、打ち切りの憂き目にあい、いまはポッドキャストでなんとか生きながらえているといったところ。先日、めでたく放送通算500回を迎えたとはいえ、地上波での休止と復活を繰り返しながらの10年間を考えると、お世辞にも厚遇されているとは言えない現状だった。

HONZのインタビューだと頭でわかってはいても、おそらく山田ルイ53世は、ラジオ局の人間であるぼくに対して言いたいことが山ほどあるはずだ。直近の番組を聴くと案の定、「パーソナリティーに冷たい」「ラジオ業界の日大」などと局をネタにして盛り上がっている。

「理想の日大広報」で臨むと決めたインタビュー

うーむ、やはりそういうテンションか……。このようなケースでは、「いや、ぼく担当じゃないですから」みたいなサラリーマン根性丸出しの対応は絶対NGである。当の芸人はその仕事に魂を込めているのだ。これまでいろんな芸人と一緒に番組をつくってきた経験からいっても、ここは真摯に向きあうべき場面である。そう考えるうちにスタンスは定まった。山田がそこまで言うのならば、よし、こちらは「理想の日大広報」でのぞもうじゃないか。そのココロは「正直に・誠実に・包み隠さず」だ!

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