30年痴漢をし続けた加害者が打ち明けた心情 痴漢常習者は、なぜ捕まってもやめないのか

拡大
縮小

ーー痴漢は電車内で?

はい。痴漢をやり始めた頃、たしか毎朝8時くらいにぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗っていたんですが、ドア付近にある女性がいまして。学生っぽくはなかったので20代前半くらいの社会人だったと思います。ちょっと触ってみようと思って手を伸ばしたら触れたんです。

その女性はいつもスカートだったので、少しずつスカートをめくり、下着の中に手を入れられれば、さらに指を忍ばせて……。その電車は駅間が5〜10分くらいと長かったので、ずっとそうした行為をしていました。

許してくれているのだと思っていた

ーーその女性に対しては、毎朝痴漢をしていたと。

私としては触らせてくれているんだなと思っていたんです。そのときに限らず、痴漢をしていたときは、触って嫌がらなければ許されていると思ってやっていましたから。嫌がられたらやめるんです。騒がれたら困るというのもあるけど、そもそも嫌がるのを無理やり痴漢することはしませんでした。逆に嫌がるそぶりをしない女性は許してくれているのだと思って、エスカレートしていきました。

今になって考えれば、抵抗できないのは恐怖でフリーズしてしまっていたからだとわかるんですけど。被害者が毎朝乗る車両を変えられないのも、他の時間帯に乗車時間をズラすことができないのも、痴漢にストーカー化されるともっと怖いからという話を最近聞いて、ああそうだったのかと。今は、ずいぶんひどいことをしていたんだと反省しています。

ーーそれ以外には、どのような女性に対して痴漢をしていたのでしょうか。

中学生もいたかもしれないですけど、おおよそ高校生から20代のOLぐらい。特定の女性を狙っていたとかではなくて、触れそうな状態の女性を探してという感じでした。満員電車だったり、泥酔している女性だったり、触っても気づかれなさそうな厚着のコートを着ていたり。そういう意味では、誰に痴漢するかということ以上に、痴漢できる状況かどうかが大きかったと感じます。

それと、かわいいとかきれいな女性には多くの男性が注目していますが、地味な女性だと注目されていないので、そういう人が多かったのかなと。日向よりも日陰で痴漢したほうが見つからないという判断が、自然と働いていたのかなと思います。

ーーそれだけの痴漢を繰り返していて、逮捕されることはなかったんでしょうか。

実は、何回も捕まっているんです。会社員になって最初の3年間はまったく捕まらなかったんですけど、26歳で初めて逮捕されて、それからは1年に1、2回は捕まっていたんじゃないかと思います。捕まるときは、毎回、下着の中に手を入れるような強制わいせつではなく、衣服の上から触る迷惑防止条例違反です。

一般的にはひどい痴漢のほうが捕まりやすいと思われていますが、衣服の上から触る軽微なほうが捕まりやすい。もしかすると、下着の中まで手を入れられている女性は、怖くて声を出せないというのがあるんじゃないかと思うんですが。

次ページ痴漢で捕まるたびに会社を替えた
関連記事
鉄道最前線の人気記事
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
東洋経済education×ICT