大阪「カジノと万博の島」に鉄道は延びるか

IR誘致の候補地「夢洲」へ3つの路線延伸案

夢洲の中央にある地下鉄新駅予定地。島の北側はカジノなどIR施設、西側と南側に万博施設が整備される。今はコンテナターミナルへの入庫待ちのトラックが数百台数珠つなぎしているだけだ(筆者撮影)

このうち、夢咲トンネルなど1.3kmは2001年に施工されている。海底トンネルが建設費低減を狙って鉄道道路併用で設計されたためだ。夢洲開発が頓挫したため、道路トンネルが開通した2009年に新線工事は事業休止となるが、それまでに鉄道部分だけで444億円が注ぎ込まれてきた。

残る事業費は540億円と試算されている。大阪市の吉村洋文市長は、2017年11月の市議会で、港湾会計の負担分約200億円について、受益者となるカジノ事業者に費用負担を求める考えを示した。

② 京阪中之島線延伸案(京阪中之島―西九条―新桜島―舞洲―夢洲11km)

地下鉄中央線の延伸線を夢洲から舞洲(まいしま)経由で新桜島駅まで延伸した上、京阪中之島線を中之島駅から西九条駅経由で新桜島駅まで敷設する構想である。両線の車両やシステムの規格は大幅に異なるので直通しない前提だ。建設距離が長いので事業費は3500億円と膨大である。

乗り換え駅となる新桜島駅は阪神高速道路島屋出入口付近に位置し、年間1500万人の入場者数を誇るユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)と隣接している。京阪による京都方面への直通列車の運行、また、中之島駅で接続するJR西日本・南海なにわ筋線(2023年春開業予定)で関西空港や新大阪駅と直結することも期待されている。

京阪は、2017年に中之島―九条間2kmを敷設する構想を披露した。地下鉄中央線九条駅と連絡することで夢洲へのアクセスは可能だし、事業費を1000億円と安く抑えられるメリットがある。2024年までに九条まで延長したいとの発言もあった。この他、「地下鉄中央線との相互乗り入れ」「九条駅からJR西九条駅まで1km延長案」も検討されているようだ。2018年5月の京阪グループ長期戦略構想でも湾岸地域への延伸への意欲を示している。

橋下氏が推したJR延伸案

③ JR桜島線延伸案(桜島―舞洲―夢洲6km)

USJへの観光客で賑わう桜島線ユニバーサルシティ駅。「JR桜島線延伸案」は同駅の西側から地下線で夢洲へと向かう(筆者撮影)

JR西日本桜島線を夢洲まで延伸する構想で、実現すれば、夢洲駅と大阪駅は所要時間22分の直通電車で結ばれる。2023年にJR東海道支線地下化が完成すると、北梅田駅や新大阪駅、京都駅との直通も不可能ではない。大阪市の橋下徹前市長は4年前に「都市戦略上はJR桜島線の延伸を目指すべきだ」と発言していた。

USJの整備計画にあわせて、桜島線安治川口―桜島間と桜島駅は1999年に新ルートに移設された。その際、大阪市はJR西日本に桜島線の新桜島駅までの延伸を要請していた。

今回はユニバーサルシティ駅の西側から新たに地下線を敷設して桜島地下駅経由で夢洲を目指す。事業費は1700億円と試算されている。

JR西日本は慎重な物言いをしてきたが、2018年4月発表の中期経営計画で「夢洲アクセス検討」を盛り込んだ。ただ、同社は、なにわ筋線、北陸新幹線大阪延伸など新線プロジェクトを複数抱えており、実現するとしても、開業はかなり先になろう。

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