「うつ病」を訴える若手社員への正しい対処法 今の若者には「弱音を吐く勇気」がある

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確かに絶対数は増えています。例えば、上述の「患者調査」では、気分障害罹患者数は、90年代では40万人台でした。これとその約20年後の直近数字を比較すれば3倍程度と大幅に増加しています。それに比例して20代の罹患者も増えるわけですので、そこだけ見れば確かに「最近の若者」は「昔の若者」(つまり、今の我々オッサン世代)よりもうつ病にかかる人が多いと言えます。

しかし、オッサン世代のいう「若者はメンタルが弱い」は、何も「昔のオレ」と比べているのではなく、「今のオレ」と比べているのでしょうから、この分析は当たらないでしょう。

さらに言えば、他にもメンタルの強さ(弱さ)につながる数字であると思われる数字、例えば自殺者数などを見ると、2016年の厚生労働省調査では、40代は約4000人、20代は約2000人と、やはり「今の若者」は「今のオッサン」よりも弱いとはけして言えないのです。

「メンタルの強さ」とは何か

ここからは私見ですが、おそらく我々オッサン世代の言う「メンタルの強さ」と、若者の考えるそれとの意味が異なっているのではないでしょうか。オッサン世代は、山本五十六の「男の修行」(苦しいことなどをじっとこらえてゆくのが男の修行だと言っています)とか、徳川家康の「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくが如し」とか、とにかく「耐え忍ぶ」のが大好きです(というより、実のところは、オッサンになるにつれて「これまで耐え忍んできたオレ」を周囲に評価させるために、そういうものを尊ぶようになるのでしょう)。

だから、すぐに「病気」だと言ってしまうことで、自分にかかるいろいろな負荷を減らしてもらおうとする態度を「メンタルが弱い」と言っているのです。

そのため、実際には、人口比で考えると特に大差の無い20代と40代の「うつ病」罹患者数が、「若手はあまり躊躇せずにうつ病であると言う」「オッサンは我慢してなかなかうつ病であると言い出さない」ということから、表面的には、若者のほうがすぐうつになる、メンタルが弱い、となっているのではないでしょうか。

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