「勝てるはずの新潟」で野党が敗れた深刻理由 前回の知事選よりも有利だったが…

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今回の知事選を仕切っていたのは二階幹事長である。花角氏は二階幹事長が運輸相時代に秘書官を務めている。二階幹事長にとっては、かつての部下のためにも絶対に負けられない選挙といえた。

しかし二階幹事長にとってより重要なのは、9月の総裁選以降での党人事への影響だろう。総裁選ではいまのところ有力な対抗馬がいない以上、安倍晋三首相の3選は確実とみられるが、二階幹事長の続投はどうか。選挙に勝てない幹事長では、来年の統一地方選や参議院選では心もとない。

中野区で負ける以上、新潟で負けられなかった

同日に行われた中野区長選では立憲民主党、国民民主党、自由党と社民党が推薦した元区職員の酒井直人氏が現職の田中大輔氏らを破って初当選。区議補選でも当選したのは立憲民主党の杉山司氏だった。

もっとも現職を推す自民党の勝算は小さかった。中野区を含む東京7区は立憲民主党の長妻昭政調会長のおひざ元であるうえ、衆議院選で自民党が最重点区として安倍首相や進次郎氏を応援に投入しても、なかなか勝てないという背景がある。

加えて自民党と公明党、維新が推した現職区長の田中大輔氏は、2002年に初当選した時には多選禁止を訴えて条例に規定を入れたが、前回の区長選で自らそれを削除。これが区民の反発を招いた上、元都議の吉田康一郎候補が保守票を取り込んだために伸びなかったといえる。

よって中野区での勝利の見込みがなければ、当然新潟では負けられなかった。さらにいえば、新潟県には世界最大の柏崎刈羽原発があり、その再稼働をめぐり国のエネルギー政策に大きな影響を及ぼす。勝利のインパクトは新潟県知事選の方が大きい。

当選を果たした花角氏は今後2,3年かけて原発の安全性を検証した後、再稼働の是非を判断することを表明。その場合は辞職・再出馬で県民の信を問うとしている。

こうした花角氏の主張に対し、永田町では「党本部に当選させてもらったわけだから、最終的には党本部の意向には逆らえないだろう」と見る向きも多い。いずれにしろ花角氏の勝利で、安倍・二階体制はひとまず安泰といえるだろう。

内政には患いがなくなったように見える安倍首相だが、対外的には果たしてどうか。6月12日に米朝首脳会談が行われ、極東アジアの外交安全が大きく変わろうとしているが、その波をうまく乗り切れるのか。政権としての正念場はまさにこれからだといえる。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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