営業が苦手な人に教えたい「商品紹介」のコツ 利点ばかりアピールしても顧客は納得しない

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私は、ごまかすのが嫌いで、すべてを正直に話したい性格です。そこでどうすればいいか、いろいろな本を読んだりして考えました。そして、自分の性格に合う営業スタイルを見つけたのです。それが、この「両面提示の法則」でした。「どうせ売れないのなら、よい面だけアピールするのをやめて、悪い面も包み隠さず正直に話した方がいいのではないか」と開き直ったのです。

当然ですが、最初はお客さまに「悪い面」を伝えると、さらに買ってもらえなくなると思っていました。しかし、実際にやってみると、その逆だったのです。なぜかお客さまが急に商品に興味を持ってくれるようになり、営業成績が上がるようになったのです。

あとからお客さまに、なぜ商品を買ってくれたのかをヒアリングしてみると、「悪い面を正直話してもらえたので、何かあったときに対処がしやすいし、大岩さんを信用できたから」とのことでした。このように、「よい面」だけではなく、「悪い面」も見せた方が、人としての信頼を得ることができ、結果的に営業マンとして、商品が売れるようになるのです。

「悪い面」は、いまやお客さまがネットで検索すればすぐにわかってしまいます。であれば、最初から「よい面」と「悪い面」をきちんと説明して、そのお客さまにマッチした商品を提案する形の商談をしなければ、営業マンとしてはスキル不足と言わざるを得ません。

では、実際にどのようにして営業活動に取り入れていけばよいのでしょうか?

お客さまに「悪い面」を納得させるのがカギ

お客さまは、どれだけよい商品であっても、悪い面もあることは分かっています。人間の性格でも、長所と短所があるように、すべてが優れているということはありません。お客さまは「悪い面」を事前に知ることにより、よい面と比較検討し、リスクを考えるようになります。それでも「自分にはこの商品で十分だ」と納得すれば、お客さまは商品を買ってくれます。その納得を得るために、上手に「悪い面」の情報を伝えるのです。

では、どのように、よい面と悪い面を伝えると、お客さまは納得するのでしょうか?

私が家電量販店でパソコンを販売していた経験を例に、5つの手順をお伝えします。

1.商品そのものの「よい面」を伝える

まずは素直に、商品自体の利便性やスペックなどの「よい面」を伝えます。

例えば、

・他社に比べ、薄型で軽くて持ち運びやすいです。

・パソコンなのに有名オーディオメーカーのスピーカーが搭載されているので、音質がいいです。

私が扱っていたパソコンは、業界では弱小メーカーだったので、少しでもよい面があれば、そこをアピールしていました。ただし、よい面をアピールするのは、何回かに1回にしましょう。その方が、逆に「よい面」が際立ってお客さまに伝わる傾向にあります。

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