外国人労働者は「現状の128万では足りない」 政府は2025年までに「プラス50万人」目指す

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基本は家族を伴わない出稼ぎの形態を想定しているが、専門分野の資格試験に合格するなど専門性を有すると認められれば在留期限を撤廃し、家族の帯同も認める方向だ。

対象業種のさらなる拡大も視野に入っており「警備業界などさまざまな業界から、要望が来ている」(与党関係者)という。

安倍政権は2012年末の発足当初から、外国人労働者の受け入れについて経済界の要望に応えるかたちで検討を重ねてきた経緯がある。

少子高齢化と人口減で労働人口の減少が防げない場合、経済成長は維持できず、財政も破綻する可能性が高まるためだ。

治安の悪化を懸念する声

しかし、欧米の移民問題などを念頭に与党内では慎重な意見も多く、労働、産業政策を所管する関係省庁間でも治安の悪化を懸念する声があった。

ここに来て議論が前進した背景には「中小企業の人手不足が深刻化する中で、政府が働き方改革を推進し日本人の労働時間短縮を提唱するには、外国人労働者を国内に招き人手不足の緩和を図ることが自然な流れと政府・与党内でコンセンサスが形成されたため」(政府・与党関係者)という事情があった。

また、外国人観光客が急増しても、国内における外国人犯罪が増えてはいないことも今回の政策決定に追い風となったという。

ただ、課題も残る。その1つが不法労働者の取り締まりだ。法務省によると2018年1月1日現在の不法残留者数は前年比2%増の6万6498人で、4年連続の増加を記録した。

このため今回の原案でも「在留管理、雇用管理を実施する入国管理局などの体制の充実・強化」を掲げている。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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