東京のタクシー業界が急速に変化している

五輪控えた「おもてなし」の最前線

 5月23日、東京のタクシー業界に、大きな変化が起きている。写真はトヨタの新型タクシー「ジャパンタクシー」に乗り込んだレガーさん。東京で14日撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 23日 ロイター] - 東京のタクシー業界に、大きな変化が起きている。すでに過去最高レベルの外国人旅行客が押し寄せている日本では、2020年までに2つの大きなスポーツの祭典をホストする準備が進んでいるからだ。

2800万人を超える外国人観光客が昨年日本を訪問しており、政府は2020年までにその数を4000万人に増やす目標を掲げている。すでに負荷がかかっている東京の交通システムに、さらに圧力がかかることになる。

世界最大級の自動車メーカーであるトヨタ自動車<7203.T>は、この問題への対応策を提示できると考えている。東京でタクシーを拾った経験のある人の大半が、トヨタのセダン型タクシーに乗ったことがあるだろう。東京を走るタクシーの7割以上が、同社のセダンだ。

海外で有名な「自動ドア」のある同社のセダン型タクシーは22年前から製造されているが、トヨタは昨年10月、「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」と呼ばれる新モデルを投入した。

環境に有害な二酸化炭素排出量を減らすため、液化石油ガス(LPG)専用のハイブリッドシステムを搭載したジャパンタクシーは、段階的に導入が進められているが、トヨタによると東京のタクシーの10%がすでに新型に切り替わったという。

障害者や高齢者のためにアクセシビリティを高める取り組みを進める東京で、2020年7月に開幕する東京五輪までに、タクシーの3分の1以上を新型にすることが東京都の目標だという。

65歳以上が人口の27%を占める日本の高齢化率は、世界でもっとも高く、トヨタの新型タクシーも、こうした人口動態の変化を反映しているという。

開発責任者をつとめたトヨタの粥川宏・製品企画チーフエンジニアは、日本で急速に進む超高齢化への対応を念頭に、新型タクシーのデザインにユニバーサルデザインを採用したと説明する。

ジャパンタクシーの後部座席は移動可能で、座席の下に格納されている車椅子用スロープを広げれば、車椅子のまま乗車できる。また、視覚障害者のために、床に黄色のマークやランプが設置されている。

「開発の途中で(東京での)五輪開催という話が出た。われわれの車は観光に使って便利な車だ。日本のアイコンとして、外国人観光客にも分かりやすいのではということで、(外国人旅行者を呼び込む)『ビジット・ジャパン』への寄与も途中から大きな開発のポイントになった」と、粥川氏は愛知県豊田市のトヨタ本社で語った。

タクシーの色も慎重に検討され、「深藍(こいあい)」が選ばれた。「藍色は日本の伝統色で、ジャパンブルーと呼ばれる。五輪のロゴのカラーも偶然ではあるがインディゴ。この藍色をしっかり日本のイメージカラーにしていきたい」と、粥川氏。

ニューヨークのイエローキャブやロンドンのブラックキャブのように、深藍のタクシーを東京の顔にしたいという。

外国人ドライバーを採用

東京を走るタクシー運転手の顔ぶれにも変化が生じている。

大手タクシー会社、日の丸交通では、来年のラグビーワールドカップと2020年の東京五輪に備え、外国人の運転手22人を最近採用した。

平均年齢が60歳近くという都内タクシー運転手の高齢化と、人材不足もあり、日の丸交通は昨年から外国人ドライバーの募集を始めた。

日本在住歴30年以上のオーストリア人、ウォルフガング・レガーさんもその1人だ。地方でシェフとスキーのインストラクターをしていたが、昨年東京に引越して、ドライバーに転職した。

「求人広告を見て、やってみようと思った。運転は好きだし、人に会うのも好きだから」と、レガーさんは東京の街を走りながら話した。 「タクシーでは毎回新しい人に会えるので、いい仕事だと思った」

レガーさんは日本人女性と結婚し、日本語も流暢に話す。それでも、乗り込んできた客は運転席に外国人が座っているのを見て驚くという。

「ほとんどの人が、外国人のドライバーは初めてだと言う」と、レガーさんは笑う。「会話を始めるにはもってこいで、みな私がどこの出身か、どれぐらい運転しているか、などたずねてくれる」

日の丸自動車は、何カ国語も話せるレガーさんのようなドライバーがいることで、先進国でも有数の均質な社会であるこの国を訪れる人たちがもっとくつろげるようにしたいという。

広々とした現代的なタクシーと、レガーさんのような運転手がいれば、2020年の東京五輪に向けて日本を訪れる観光客も安心感を覚えるだろう。

(Jack Tarrant 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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