在宅勤務を強化する富士火災、人材確保を狙う

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「家でも、職場にいた頃と同じように作業ができる」と三つのパソコンを手なれた様子で扱いながら話す山下真理子さん。在宅勤務を始めたのは今年4月。産前産後、育児休暇を取得後、職場復帰しようと考えていたが、子どもを預ける保育所が見つからなかったため、退職を覚悟。だが「退職されるくらいならトライしてもらおう」と人事部の西田直樹部長が決断。在宅勤務制度利用者の第1号となった。

これまでも「女性が長く活躍できる職場」を目指し、育児の時期に勤務時間を短くする「育児時短」や、夫の転勤赴任地域の支社へ異動できる「一般職の転勤」などの制度を導入してきた富士火災。ただ、「在宅勤務」は「どのように進めたらいいのかわからず、形にできていなかった」(西田部長)という。

実際、在宅勤務を始めた山下さんは「インフラが整わず困ったことも。職場にいるスタッフと何時ごろ連絡を取ればいいか、電話とメールではどちらが伝わりやすいかなど、1~2カ月間は手探りだった」と言う。試行錯誤の後、5カ月が経過した現在では「非常に助かっていて何の問題もない」と上司の営業教育部・松永譲治部長は、山下さんの在宅勤務に全幅の信頼を寄せる。

在宅勤務のいちばんの利点は「育児の時間を十分に取れること」(山下さん)。1日の労働時間は5時間だが連続5時間ではなく、昼間は公園で子どもを遊ばせ、昼寝中や夜寝た後にじっくり仕事に取りかかる。「30分でやろう!と決めたら集中して効率的に進める。ただ、いつでも仕事ができる環境だからこそ、どんなに気になっても土日は仕事をしないと決めている」(山下さん)。

在宅勤務第1号が成功しているとはいうものの、「全社員へ向けての制度にするのは難しい」というのが現時点での認識だ。「山下さんの仕事は、データの更新作業など営業時間外でもできることが中心。が、お客様とのやり取りが主な仕事の職場もある。どんな仕事なら在宅勤務できるのか、機材は何が必要か、動き出して初めてわかったことがたくさんあった。ケースバイケースで徐々に適用していきたい」(西田部長)。

出産後の女性を会社につなぎ留める新制度は、少子高齢化時代を迎え、優秀な人材を一人でも多く確保したい会社側にも、活路となるだろう。

(生保・損保特集編集部)

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