泥沼の森友問題、またしても「文書隠し」疑惑 なぜか2014年4月28日の面談録がなかった

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ただ、公開された文書によって新たに明確になったことがある。

夫人付だった谷査恵子氏が2015年11月10日に財務省国有財産業務課に電話をかけ、社会福祉法人に対して検討されていた定期借地権の優遇制度を小学校にも適用可能かどうかを問い合わせた件で、谷氏が「(昭恵夫人の)知り合いの方から、社会福祉法人同様、優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり」と述べたと記載されていることが明らかになったのだ。

もし谷氏の問い合わせが昭恵夫人からの指示で、昭恵夫人が籠池氏に有利なように国有地賃借のために動いたとするなら、昨年2月に「私と妻が関係していたら、総理も国会議員も辞める」と啖呵(たんか)を切った安倍晋三首相にとって政治生命を絶たれかねないピンチになる。

安倍首相は特別待遇ではないことを強調するが…

これについて安倍首相は5月23日の衆議院厚生労働委員会で、「籠池氏から夫人付に対して送られてきた手紙にも記載されている話」として、昭恵夫人の“関与”を否定。さらに「国有財産制度に関するもので、籠池氏から直接問い合わせても答える内容だ」と特別待遇ではないことを強調し、「妻は国有地取得にかかわっていないことを明確にさせていただきたい」と述べた。

もっともこの時、籠池氏から昭恵夫人に電話があり、メッセージが残されていたことが確認されている。これについて安倍首相は「妻はほとんど出なかった」と述べたが、野党議員らは「メッセージを聞いた昭恵夫人から谷氏に指示があったはずだ」と主張。これについて昭恵夫人や谷氏からの説明がないため、どちらとも言えない。

大阪地裁は5月23日、大阪府や大阪市から補助金約1億8000万円を詐取したとして昨年7月31日に逮捕され拘留されていた籠池氏と妻の諄子氏を約10カ月ぶりに保釈することを決定した。これを不服として大阪地検は準抗告しているが、すでに籠池氏は保釈を前提として記者会見を予定しているという。

せっかく下げ止まったと思われた内閣支持率だが、面会記録の公開と籠池夫妻の保釈によって、またもや下がり始めるのではないかと懸念されている。たとえ首相が積極的に指示しなくても忖度(そんたく)で行政が歪められ、答弁の矛盾に合わせて公文書が破棄・改ざんされるようでは、どうして国民の信用を得られるのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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