仕事のミスが許されない人と許される人の差 顧客の信頼を得るための5つのテクニック
一方、お客さまと話すのがあまり上手ではないのがBさんです。Bさんは、お客さまのところに足を運ぶことは運ぶのですが、いまひとつ押しが弱く、商品を提案するのを苦手としていました。ただ、Aさんとは違い、お客さまとの約束はきちんと守り、見積りの提出も早いです。そしてミスもありません。また、お客さまが何気なく口にしていたことなどもきっちり覚えていて、要望がなくても「先日、お話しされていたあの件ですが……」と、きちんと自分で調べて回答するようなタイプでした。
あるときそんなBさんが、発注を間違えて納品が期日に間に合わないというミスをしてしまいました。このようなことがあると、お客さまからの信用をなくし、一時的に売上が大きく下がってしまうケースが少なくありません。ですが、大きなミスをしたのにもかかわらず、Bさんは決して見限られることなく、その後も大きな案件を決め、順調に売上を伸ばしていったのです。
Bさんはどうして見限られなかったのでしょうか。なぜならBさんは、期日をきちんと守り、対応も速く、基本的に丁寧でミスをしない人であるため、「安心して大きな仕事も任せられる!」とお客さまに思われていたからです。それゆえ大きなミスをしてしまっても、「今回ミスはあったけれど、基本あの人なら大丈夫!」と、大目にみてもらえたのです。
逆にAさんの場合、人気があっても期日や約束事にルーズなところがあるため、「ちょくちょく約束を守らないことがあるから、大きな仕事を任せるのはちょっと……」と思われていたのです。
このように、いくら人当たりがよく皆に好かれるタイプでも、実際お客さまは、営業マンのことを非常にシビアな目で見ています。つまり、ビジネスにおける信用という側面で、より「寛大効果」を得られたのは、Aさんのフットワークの軽さよりも、Bさんの誠実な期日厳守の対応だったのです。
営業マンは単なる人気者になるのではなく、「いざという時に信用できる人」であることが最も大切なのです。
では、この「寛大効果」を取り入れて、実際にどのように営業活動に取り組んでいけばよいのでしょうか?
信頼を得る営業マンは何をしているのか?
私は営業マン時代、常にお客さまへの対応がよかったためか、かなり寛大効果の成果が出ていたと実感しています。お客さまに信用されていないと受注ができないような数量や金額や、月に2~3億円規模の注文をいただいてもいました。また、突発的な商品クレームの時は、不思議なことに大目に見てもらえていました。大きなクレームが発生すると、お客さまからの費用負担請求があるものですが、その金額を値下げしてもらったり、ナシにしてもらうことも多々ありました。
こうした、まさに「寛大効果」を得ることができたのは、小さなことでもコツコツと努力を積み重ねてきたからです。そこで、私が営業マンとして信頼を得るため心がけてきたことを、5つお伝えします。
1.お客さまとの約束は必ず守る
これは、基本中の基本です。約束した時間、約束した提出物の期日、約束した納期、約束した値段など、すべてのことが当てはまります。これこそ極めて当たり前のことなのですが、実は、守れない人もたくさんいるのです。すっかり頭から抜け落ちて忘れてしまう人、守れなかったことに理由を付けて言い訳する人、平気で納期の変更をお願いしたりする人などがいます。どうしても納期を変更したいときは、せめて相手から催促がある前に連絡しましょう。「寛大効果」を得るには、まず最低限のレベルです。