ソロス氏、テスラCB3500万ドル分購入の波紋 他の投資家は追随するか

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しかしイートン・バンス・マルチセクター・インカム・ファンドの共同ポートフォリオマネジャー、ヘンリー・ピーボディー氏は「テスラの保有現金が今のペースで減り続ければ、今後3四半期以内の資本調達が避けられない」と述べ、その場合同社が転換社債を発行する公算が大きいとした。

テスラからのコメントは得られていない。

テスラの株価が現在程度の水準を保った場合、ソロス氏など同社の転換社債を買った投資家は期限を迎えたときに額面での償還が可能で、転換社債の購入価格が安ければ利益が得られる。

米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、ソロス・ファンド・マネジメントが購入したのは2019年3月償還の転換社債。この社債は転換価格が359.87ドルで、16日終値を上回っている。

テスラの株価が転換価格を超えれば?

テスラの株価が転換価格を超えれば、ソロス氏は転換社債をテスラの普通株9万7000株強と交換するだろう。投資の妙味はこちらの方が大きい。

いずれにせよ、転換社債を購入した投資家は当面、年0.25%の金利収入を手にできる。

ヘッジファンドも転換社債を好む。転換社債は企業の株式を空売りする際のリスク調整に利用できるからだ。

一方、ジャンク債の場合は最も望ましいシナリオでも額面での償還止まり。テスラの財務が悪化してもほとんど身は守れない。

ただ、テスラにとって転換社債の方が良い選択肢ではあっても、ジャンク債に対する優位性はそれほど大きくないとの見方もある。ブラウン・アドバイザリーの債券ヘッド、トーマス・グラフ氏は「テスラの現状を考えれば転換社債の方に大いに分がある」と述べ、起債の成功を予想したが、自身は購入を見送る考えを示した。

(Kate Duguid記者、Trevor Hunnicutt記者)

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