「首都直下地震」はいつ起きてもおかしくない 「巨大地震や噴火」がなぜ各地で相次ぐのか

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この予測から6年以上が経った2018年5月現在、首都直下地震は起こっていません。しかしそれは「予測が外れた」という意味ではないのです。先に述べた「4年以内に70%」という地震発生確率は、東北地方太平洋沖地震の発生直後から半年後までの、非常に活発な地震活動のみから計算したものでした。最近の首都圏での地震活動はその頃に比べれば低くなりましたので、そこまで高い確率で首都直下地震が起きるとは考えられていません。

過去90年間に日本で観測された大地震の回数。マグニチュード7、震度5以上の地震の発生回数を10年ごとに区切ったグラフで直近10年間の回数が非常に多いことがわかる。(グラフ:『日本列島大変動』より。ポプラ社提供)

しかし、地震活動が元のレベルに戻ったわけではありません。

東北地方太平洋沖地震の前の3年間に首都圏では約300回の地震(マグニチュード3以上)が発生していましたが、2014~2017年の3年間では約400回に増えていて、地震活動は以前よりも高まっています。グーテンベルグ・リヒター則の計算式が正しいとするならば、首都直下地震の発生確率は下がりはせず、むしろ上がっていると考えられるのです。

予想される地震には5つのタイプがある

さて、「首都圏で想定される巨大地震」と一口に言っても、そのタイプは5種類もあります。

1 地表近くの活断層による地震
2 フィリピン海プレート上面に沿うプレート境界地震
3 フィリピン海プレートの中の内部破壊による地震
4 太平洋プレート上面に沿うプレート境界地震
5 太平洋プレートの中の内部破壊による地震

このうちの1のタイプは陸地の活断層がずれることによって起こる地震で、阪神・淡路大震災と同じタイプの内陸型地震、いわゆる直下型の地震です。最近の調査によれば、東京の周辺には将来地震を起こしうる大小の活断層が、現時点で少なくとも7つは判明していて、そこにはマグニチュード7・4程度(立川断層帯)やマグニチュード8程度(深谷断層帯・綾瀬川断層帯)を起こしうる活断層も含まれています。

文部科学省の地震調査研究推進本部の長期評価では、関東山地~関東平野の活断層が30年以内に大地震を起こす可能性を11%程度と見積もっています。これは熊本地震発生前に見積もられた、九州中部地方の大地震発生確率(18~27%程度)よりは低いものの、かなり高めの値であると言えるでしょう。

首都直下地震の2のタイプは、三浦半島と伊豆半島の間、相模湾の海底にのびている溝状の地形「相模トラフ」のプレート境界で起こる、プレート境界地震です。相模トラフではフィリピン海プレートが関東地方の下に沈み込んでいて、陸側・海側の2つのプレートの間は大断層(プレート境界断層)になっています。

相模トラフから首都圏の真下へとのびるプレート境界断層を境にして、陸側のプレートが海側のプレートの上に乗り上げるようにずれ動くことで地震が発生します。1923年に起こった関東大震災(大正関東地震)は、このタイプの巨大地震です。関東大震災では100万をはるかに超える人々が被災したと考えられており、10万人以上が地震にともなう住居の崩落と火災で亡くなっています。

なお、「大正関東地震」は地震名であり、「関東大震災」はそれによって発生した災害の名前です。名前が2つある理由は「地震の起き方」と「地震災害の起き方」に違いがあるためです。地震は自然現象であり、地震の発生開始場所(震源)は比較的狭い地域に限られます。大正関東地震の震源地は神奈川県でした。

一方、揺れによる直接的な被害に加えて、津波・地すべり・人為的要因等による間接的な被害など、地震災害は広範囲に複雑に及ぶため、震災名を別途設ける場合があるのです。関東大震災では揺れ・火災・津波などの被害が群馬県や静岡県にまで及びました。

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