共同開発車がヒット。日産と三菱の深まる連携 日産・三菱提携の本気度

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一段と進む提携関係、軽は共同事業に一本化

日産・三菱の軽事業での提携は、今後もさらに深まりそうだ。

三菱サイドでは現在、水島を軽自動車専用の工場にすべく抜本的な再編にも着手している。従来の4ラインを2ラインに集約し、能力を年間40万台に削減するとともに、レイアウトも大きく見直す計画だ。

ライン集約で工場内のスペースには大きな余裕が生まれるため、ここにプレス部品など輸送コストがかさむ大型部品メーカーの進出を促すことで、物流の大幅な効率化を狙う。

またNMKVは7月、水島工場内に拠点を新設し、開発・生産、物流の担当者を6人常駐させた。これまでは、協業とはいえ日産・NMKVのスタッフは水島工場にとってあくまで部外者であり、自由な行き来はできなかった。しかし水島工場内にNMKVの拠点ができたことで、日産から水島へのアクセスは容易になり、連携は強まる。「水島に出向きやすくなり、生産分野での共同作業のスピードアップが図れる」(日産・笠間氏)と期待する。

また、三菱は軽自動車の商用車について、14年からはスズキからのOEM調達に切り替える。これにより、三菱の軽自動車の開発・製造は日産との共同事業に一本化される。

経営再建が進みつつあるとはいえ単独での生き残りが不安視される三菱と、積極的な買収・提携で規模拡大を進めるルノー・日産連合。その組み合わせから、日産による三菱の買収観測は絶えない。

その真偽はともかく、軽事業に限れば両社の融合は着実に進んでいる。

週刊東洋経済2013年10月19日号

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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