資金不足?テスラが直面している厳しい現実 「これ以上の資金は不要」と強気だが…
ところが、これらの計算には議論の余地があるかもしれない。モルガン・スタンレーのジョーンズ氏は、「話を聞いたなかではモデル3の製造が2018年第2四半期末までに1週間当たり5000台に達すると予想する投資家は1人もいない」と指摘した。
テスラは自社の資金需要の過小評価を繰り返し、その必要がないと断言した直後でさえも株式や借り入れにより資金調達を実施してきた。
Cowen & Coのアナリスト、ジェフリー・オズボーン氏は4月上旬にクライアントに宛てたメモに「同社の財務予測は金融界での信頼を失いつつあるかもしれない」と書いている。
3月以来、同社株の空売り総額は浮動株 (取引可能株) の30%へと急増した。
アナリストは損失の拡大を予測
現在、テスラは2019年第1四半期までは非GAAP (non-GAAP、非米国会計原則基準) での黒字化を達成できないというのがアナリストたちの平均的な予測だ。トムソン・ロイターのデータによると、アナリストは2017年末に出した予想損失を2倍にしており、第3四半期と第4四半期に、それぞれ2億1760万ドルと4010万ドルの調整後損失を見ているという。
彼らは平均で、第3四半期と第4四半期にそれぞれ1億2500万ドルと6700万ドルのマイナスキャッシュフローを予想している。
利益に影響するそのほかの単発の要因としては、モデルYの顧客から得るゼロエミッション車両(ZEV)販売のクレジットもしくはデポジットなどがある。マスク氏は先日、モデル3の組み立てラインを自動化しすぎたとして誤りを認めているが、これも解消に大きな費用がかかることがわかっている。
モデル3はフル稼働時に25%の粗利益率を目標にしているが、製造ラインの停止や時間給労働者を400人増員する必要があることを考えると、短期的には同モデルの現在の損失率がさらに高まる可能性がある。
UBSのランガン氏によると、これらすべてを考慮した場合、2018年の増資は「実施の有無よりも時期の問題」だという。
(執筆:アレクサンドリア・セージ、
編集:ピーター・ヘンダーソン、マシュー・ルイス)
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