日本電産永守氏が狙う「家電とクルマ」の大波 止まらない買収、売上高2兆円突破は間近
家電市場の攻略を狙う日本電産が進めるのは、モジュール戦略だ。モーター単体では、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の世界市場を合わせても5000億円程度。しかしファンや空気を圧縮するコンプレッサーといった周辺部品と組み合わせてモジュール化することで、市場は4兆円まで広がる(いずれも2015年度、日本電産推定)。
決算発表と同時に発表された買収も、モジュール化への傾注を表している。今回買収した2社のうち、特に規模が大きいのが、米家電大手ワールプール社の冷蔵庫用コンプレッサー事業だ。
日本電産はこの買収に10.8億ドル(約1170億円)を費やす。2016年度に約1200億円で買収した米エマソン・エレクトリック社の事業に次ぐ、過去2番目の規模だ。コンプレッサー事業は2017年7月に独セコップグループを買収したことで参入した新市場。冷蔵庫には欠かせない部品であり、モーターとともにモジュールとして拡販を狙う。
EV時代にモーターの”覇者”になれるか
そして、将来の屋台骨に育てようと永守会長が今力を注ぐのが、自動車分野だ。日本電産は今後3年間で5000億円の設備投資を計画するが、電気自動車(EV)向け駆動モーターの生産をはじめとする車載分野には2000億円を投下する。
車載事業は2018年3月期に売上高2953億円(前期比13%増)、営業利益率は13%前後と、HDDや家電などに比べるとまだ小さい。だが昨年9月、同社はEV・PHEV(プラグインハイブリッド車)向けに駆動モーターのシステムを新たに開発したことを発表。この4月にはより小型化・軽量化したシステムもお披露目するなど、永守会長はEV時代での高成長をもくろむ。
これまで自動車業界といえば、完成車メーカーと、「ケイレツ」と呼ばれる部品メーカーとのすり合わせで開発・生産するケースが多かった。しかし「今後はソフトウエアによる差別化が競争の中心になる。内製にこだわっている会社はない」と永守会長が語るとおり、水平的な分業が急速に進んでいる。
現在はEV・PHEV用駆動モーター向けとして初となる量産工場を中国に建設中で、2019年度から販売を本格化させる。受注次第ではポーランドやメキシコに第2、第3の工場を建設する予定だという。「世界ナンバーワンのシェアを取っていける」。永守会長はあふれんばかりの自信を見せつける。
2020年度に売上高2兆円、営業利益3000億円を目標とする日本電産。家電・商業・産業用は、売り上げ目標を達成済み。残るは車載だ。昨年末には仏自動車大手のグループPSA(旧プジョーシトロエン)との合弁会社の設立を発表した。永守会長は今後、世界の自動車大手をどう口説くのか。次なる一手に注目が集まる。
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