米国人が離婚しなくなったのは「愛」が理由か 離婚率が過去40年間で最低水準に
科学技術ニュースのサイエンス・デイリーによると、1980年代生まれの女性が、20代、30代、40代で結婚していない比率は、1940年代生まれの女性がそれぞれの年代で独身だった比率から大幅に高くなっている。
背景には、ミレニアル世代の多くが、結婚を決める前に同棲することを選んでいることがある。社会学者のウェンディ・マニング氏が、家族と結婚に関する研究センターに集積されたデータを分析したところ、1965~1974年に結婚した女性のうち、結婚前に同棲していたのは11%だったのに対して、2009年には66%の女性が同棲することを選択していたという。
そして「愛に目覚めた」現代人
同氏は『結婚と家族のジャーナル』誌に、同棲を経ることによってミレニアル世代の結婚がより長く継続する傾向がある可能性を指摘。「最近の結婚では、結婚前の同棲により離婚の危険が減っている」と、結論づけている。
ミシガン大学の経済学者、ジャスティン・ウォルファース氏も同様の指摘をしている。同氏がデータに基づいた分析をした結果によると、2000年代に入ってから結婚した人々の離婚率は、1970年代後半や1980年代、そして1990年代に結婚した人々の離婚率よりも今のところ低い。
同氏は離婚率が低減している理由はいくつかあるとしているが、そのうちの1つとして「現在は、結婚は愛がすべてとなっている」ことを挙げている。「かつてのようによい主婦やよい稼ぎ手と結婚するのではなく、魂の伴侶を見いだすために結婚しているのだ」。
メリーランド大学カレッジパークの社会学者、フィリップ・コーエン氏は、かつて離婚率が上昇したのは、新たに自己決定権を得た結果だったの対し、ここへきて離婚率が下がっているのは、婚姻関係がより自主的になったことが関係していると指摘する。
「相互への依存度が低く、関係性をより自由に選べることによって、関係自体の質が改善している。生活のために結婚を続けるという要素が減れば、私の意見では2人の関係の質はグッと向上する」(コーエン氏)
過去40年間で、米国では結婚を含めて生き方の多様化が加速度的に進んだ。これによって、個々がより自由に生きられるようになった結果、結婚が「生活のための手段」から「幸せに生きるための選択肢の1つ」に変わったのである。
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