価格差2倍も、欧州の鉄道「現金乗車」なぜ高い 対応が面倒な観光客への「割り増し料金」か
かつてオランダの首都・アムステルダムでも同じようなことが行われていた。トラムの車内にわざわざチケットブースを設け、それ用の係員を置き、1乗車(1時間以内なら乗り継ぎ可)2.30ユーロ(約305円)の切符を手売りしていた。ICカードのOVチップカートなら0.90ユーロで乗れるところで倍以上取っているわけだ。
かつて、アムステルダムを訪れた際に、車内の係員が「ちょっと高いけど、慣れない人には便利でしょう?」と気さくに事情を話してくれたことを思い出す。現在この「車内切符売り場」のスキームは、交通機関の完全キャッシュレス化を目指すアムステルダム市営交通会社(GVB)が廃止。切符の事前購入が求められている。
課金で混雑解消が実現?
ロンドンで赤い2階建てバスに乗るのには、オイスターカードの利用もしくは1日乗車券などの事前購入が求められ、現金での支払いにまったく応じていない。「どんなにおカネを積まれても乗せないものは乗せない」というきっぱりしたシステムを取っている。現金収受を運転手にさせるのは治安上危険なだけでなく、遅延の直接的な理由になるからだ。現金で乗れていた最終の段階(2014年)には、コイン乗車時の割増運賃の制度が存在していたこともあり、コインで乗っていた乗客は全体の0.4%しかいなかったという。
細かい話をすると、ロンドンのバスにはApplePayでもコンタクトレス課金チップのついたクレジットカードでも乗れるという先進的なオプションがあるが、EU外から来た観光客向けには応用が難しいのが現状のようだ。
目下、日本では急増するインバウンド客により、多くの観光地で切符売り場やバス降車時の運賃支払いなどで混乱が起こっているようだ。ロンドンなど欧州で行われているような「手間のかからない乗客は安く乗せ、そうでない乗客からは割増を取る」といった制度は抜本的な問題解決の1つの方法として考えられよう。
一方で、欧州では「観光客は市内交通機関の利用が全部タダ」というまったく逆の発想を取り入れている都市もある。この事例についてはまた改めて紹介することとしたい。
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