ダメな管理職ほど「決断のスピード」が遅い 「速く決める」ためのシンプルなしかけとは?

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そもそも、ビジネスにおいて情報が十分にそろうことなどありません。M氏をはじめとした米国企業のエグゼクティブたちは、不十分な情報であっても自分なりの決断の基準に照らし合わせて、不安と闘いながら決めているのです。

情報不足を連呼していると、最初のうちは「慎重な人」と思われるだけで済みますが、やがて「臆病な人」に格上げされ、「決断できない人」へと昇格を遂げ、ついに「無能」にまで上り詰めます。外資系では「無能」イコール「クビ」です。

管理職1年目は「決めること」に慣れること

部門責任者などの個人に全権が与えられている米国企業に比べて、関係者間での合意形成を重んじる日本企業では、最終的な意思決定者が不明確なまま、いわゆる「調整」に多大の時間を費やさなければならないという構造的な問題を抱えています。

初めて管理職になった皆さんは、このような構造的な問題のもとにチームを運営していかなければならないので、苦労されるかと思います。しかし、少なくとも自分の裁量で進めることができる範囲においては、「速く決めて、速く実行して、速く修正する」という考え方を持つべきです。

まだ決めることに慣れていない管理職1年目のような方にとっては、決めることへの不安が決断を躊躇させるかもしれませんが、決めない自分がボトルネックになってチームの仕事を停滞させることは絶対に避けねばなりません。たとえ上司の了解を得る必要があるとしても、まず自分が決めなければ話は始まりません。

だからこそ、いつまでに決めるかを自分自身と約束する「決断のデッドライン」の力を借りて、無理やりにでも決め、決めることに慣れていくのです。それを繰り返していくうちに、限られた情報と時間で決めるための自分なりの決断の基準もできてきます。

決断のデッドラインを決めたら、メンバーや上司に宣言してしまい、そこから逃げられないようにしておくとよいでしょう。「誤りに気づいたら修正すればよいだけだ」と腹をくくるのも、その効果を実感し始めると当たり前のことと感じられるようになります。さらに、自分だけでなくメンバーに対しても、「いつまでに決めるの?」と問いかけていけば、「迅速に決めて実行するチーム」へと成長していくことでしょう。

櫻田 毅 人材活性ビジネスコーチ

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さくらだ たけし / Takeshi Sakurada

アークス&コーチング代表。九州大学大学院工学研究科修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事。日興證券(当時)での投資開発課長、投資技術研究室長などを経て、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントで資産運用コンサルティング部長。その後、執行役COO(最高執行責任者)として米国人CEO(最高経営責任者)と共に経営に携わる。2010年に独立後、研修や講演などを通じて年間約1500人のビジネスパーソンの成長支援に関わる。近著に『管理職1年目の教科書』(東洋経済新報社)がある。

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