日韓の「パラアイスホッケー」で結ばれた絆 銅メダル獲得、韓国躍進の背景に日本の存在

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韓国対スウェーデン戦で、戦いを終え握手を交わす選手たち(筆者撮影)

韓国でパラスポーツ種目として導入された後、大きな広がりを見せたのは、平昌へ冬季オリンピックを誘致し始めた2003年ごろからだという。

夏季種目から選手をスカウトし、2006年には、平昌の地元、江原道(カンウォンド)の当時の道知事の肝いりで、韓国初の実業団チーム「江原道庁実業チーム」が創団された。同チームの所属選手は当初11人だった。現在は14人に増えたという。平昌パラリンピックにはこのチームのうち13人が出場している。

銅メダルを獲得した背景

韓国のパラアイスホッケーが大躍進した背景には、運動に専念できる環境をつくったこの実業団の存在を挙げる人が多い。

「彼らは、江原道庁に所属しながら運動に専念するいわばプロです。平日はウエートトレーニングなどに費やして週末はリンクで練習します。クラブチーム所属の選手はそれぞれ仕事を持っています。実業団の選手とは練習量がおのずと違ってきますから、技量も当然差がでてくる」(同前) 

今回の平昌パラリンピックに出場した選手17人のうち13人は江原道庁チーム所属だ。韓国にクラブチームは10チームあるが、「実際に活動できているのは5チームくらい」と河理事は言い、競技人口は50人ほどいるそうだ。

この実業団が発足された後、韓国チームはめきめきと力をあげ、2008年に開催された国際パラリンピック委員会主催のパラ世界選手権Bプール(Aプールに次ぐグループでパラリンピックの出場権利が与えられるのはAプール)では優勝を飾り、2010年のバンクーバー冬季パラリンピックでは6位となった。

「パラ世界選手権Bプールで優勝できたときのことは今でも忘れられません。本当にうれしかった。バンクーバーパラリンピックでは日本代表は銀メダルを取りましたよね。あのときの日本は本当に強かった。韓国では国内で実戦できるほどの選手がいないので、海外に親善試合を申し込んでいましたが、あの頃は日本は歓迎されても、韓国は実力が伴わないと断られてばかりいた。強くなりたいと思っていました」(同前)

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