「人工知能」に期待だけを抱く人の3つの誤解 ビジネスマンと開発者でギャップが生まれる
しかもバージョンが定期的に上がるので、今までできなかった内容が新しいバージョンでできるようになります。クローズドな環境で2年前に作られた教科書では遅いのです。ディープラーニングを学ぶには学校に通ってコツコツ勉強するより、オープンソースを弄(いじ)くり倒す方が良いでしょう。
ちなみに、技術の共通基盤となるプラットフォームをオープンにして、それを世界標準にするというのは、インターネットの時代の常識です。
理論面については最低限でも高校数学ⅢC、大学数学レベルの知識が必要ですから、大学院のような場所も必要だとは思います。要はバランスです。大学院強化一辺倒では片手落ちなのです。
ちゃんと教育するのも大事ですが、本当に好きな人なら自分から情報にアクセスしようとします。大切なのは、そういう人材がディープラーニングに関する情報にアクセスできるような環境の整備だと筆者は思います。
リスク2:人工知能を導入する組織の勉強不足
次に人工知能を導入する組織の勉強不足です。
中には「上司から人工知能って言われているから」と考えている人が少なからずいます。上から言われたから仕方無くやっている人が導入における一番の障壁になります。
人工知能に対してもっとも危機感を抱いているのは、役員クラスの人間です。何かよく分からないけど人工知能に対応しないとヤバいと考えている。だから部下に対して「やれ」と言います。部下からしたら「この忙しい時期に何を言ってるの」と思いつつ、「かしこまりました」と頭を下げている。
頭の中は責任と保身のせめぎ合いです。そういう責任逃れの人たちが現場、管理職問わず多いです。
こういう人たちは、人工知能で何ができるか全く分かっていない状態で会議に参加して、ものすごくフワッとしたお題を言ってくる。だから、会議の出だしから「それはできませんね」みたいな後ろ向きの議論を始めなければいけなくなります。
本当にビジネスに導入するつもりがあるなら、技術が分かっていなくても、ディープラーニングは何ができるかという根底の部分は押さえておきますよね。人工知能をやらないといけない部署の責任者が全くの無関心で、組織としてやらないといけない業務内容を、その業務を推進する役職者が理解していないなんて、実によくある話です。
一番大変な思いをするのは、やる気のある人たちです。中には、ディープラーニングを活用しないと会社として生き残れないと真剣に悩んでいる人たちがいます。