都内30駅「大地震で危険度が高い」ランキング 火災や建物倒壊の危険、道路の幅にも注意

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ランキング2位の鐘ケ淵駅(筆者撮影)

鉄道会社でも大地震発生を想定した全線での列車の一旦停止訓練などさまざまな訓練が行われている。また駅構内の帰宅困難者を自治体の一時滞在場所へ避難誘導する訓練を、沿線自治体と合同で一部行ってもいる(例:2017年11月17日実施 池袋駅)。だが全鉄道会社に対していえることだが、駅から避難場所(一時滞在場所等)への避難誘導訓練等の行われていない駅がほとんどである。とくに今回掲載した危険度の高い駅では、避難場所までの道順が複雑で迷いやすいところが多い。

筆者は仕事柄鉄道会社の方々と話をすることが多い。運転手、車掌、駅員、列車指令の方々と震災時の話をすると彼らの多くが口にするのは、
「自分たちは線路沿い、駅のことは詳しくわかるが、そこからちょっとでも離れたらどんな場所を走っているかはまったく知らない」ということである。

避難ルートを確認すべき

想定された避難場所も、わかりやすい場所でない場合、一度歩いても月日がたつと忘れてしまいそうだ、という声も鉄道関係者から何度か聞いた。火災が起き始めてからの避難の際など、別ルートで行くことが必要となる場合もあるだろう。付近の地理の熟知が必要であり、地元の詳しい人との連携なども検討に値しよう。

とくに危険度が高い駅では、定期的な避難誘導訓練などよりいっそうの対策を望むが、われわれ乗客としては、自己責任で身を守るために、駅に降りたらまず避難場所を地図で確認する程度のことはしておきたい。

このランキングは、決していたずらに不安を煽るためのものではない。災害へは悲観的になりすぎるのも問題で、正しく怖がり日頃から備えることが大切である。防災に関心を抱く一助としていただければ幸いである。

<表の説明>
5177カ所の町丁目のうち駅が立地する町丁目は数百カ所ある。それらについて危険度が高い順に順位付けを行った。駅は1つの町丁目の中にすべてが収まらず、2つ以上の町丁目にまたがっている例も多い。その場合、危険度が高い方の町丁目の危険量をランク付けの基準とした。駅構内だけでなく、駅前(おおむね駅から50メートル程度以内)も対象とした。1位の町屋駅は千代田線町屋駅の地を対象とした。京成町屋駅は、危険度ランクが高い荒川6丁目、町屋2丁目(いずれもランク5)からやや離れるが、両駅は出入り口も隣接するので、同じ1位とした。。
危険量とは、駅が複数の町丁目にまたがる場合、都が発表の各町丁目の危険量を、以下の基準で調整したものである。
東京都都市整備局による『あなたのまちの地域危険度2018 地震に関する地域危険度測定調査 第8回』の発表データを使用
・駅が危険度ランク5の町丁目に囲まれている場合:ランク5の町丁目の危険量×1
・駅が危険度ランク5と同4の町丁目の境にある:ランク5の町丁目の危険量×0.9
・駅が危険度ランク5と同3以下の町丁目の境にある:ランク5の町丁目の危険量×0.8
・駅前(駅から50メートル程度以内)に危険度ランク5の町丁目がある場合かつ駅周辺がランク3~4の場合、ランク5の町丁目の危険量×0.7~0.85
・駅前(駅から50メートル程度以内)に危険度ランク4の町丁目がある場合かつ駅周辺がランク3以下の場合、ランク4の町丁目の危険量×0.8~0.9
内田 宗治 フリーライター、地形散歩ライター

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うちだ むねはる / Muneharu Uchida

主な著書に、『地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係 東京周辺』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)、『関東大震災と鉄道』(新潮社)など多数。外国人の日本旅行、地震・津波・洪水と鉄道防災のジャンルでも活動中。

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