日本株の先行きが「ぼちぼち」と読むワケ トランプ大統領が中国を見限ったらどうなる

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こうした米政権の体たらくはあるが、米国企業も政権とともに沈んでいく気はさらさらなく、政策がどうなろうと自助努力で利益を上げて行こうという気構えは変わらないだろう。それは米国の伝統的な、政府を当てにしない、フロンティアスピリッツ(開拓者魂)だとも言える。また、いくら米国の政治力が大きいとはいっても、世界経済の回復基調を覆す力はないだろう。米国が世界貿易の拡大を阻害する方向ばかりを打ち出すのであれば、TPP11(米国抜きの11カ国による、環太平洋パートナーシップ)のように、米国以外の国々で大いに貿易し、経済を拡大していけばよいだけだ。

そうして海外の経済・市場環境が落ち着いて行けば、日本株は企業収益に沿った動きへと復帰しそうだ。1ドル=105円を大きく割り込むような米ドル安・円高にならなければ、増益基調も維持できるだろう。また、日本株は、予想PERでみて割安な領域に入っている。

18年の日本企業の増益率から、日経平均を推し測る

残念ながら、日本企業の増益率は、2018年度(2019年3月期)は、全産業ベースで、10%には達すまい。すると今年の日経平均は、増益率の分と、割安な評価が中庸の評価に修正される分を合わせて、現水準から10~15%程度上昇するのではないだろうか。とすると、今年の最高値(ザラ場ベースで2万4129円)に再度達し、そこを若干だけ上回るものと予想している。

とすれば、「まあまあ、ぼちぼちな株価上昇シナリオ」と言える。そうした予想をセミナー等で披露すると、「つまらない相場見通しですね」と言われる。ただ、現実というものは、往々にしてつまらないものだ。

そうしたなかで、今週を展望すると、20日(火)~21日(水)の、米FOMC(米連邦公開市場委員会)が注目されるだろう。おそらく0.25%の利上げが行なわれると見込むが、その利上げ自体は、市場がすでに確実視しており、波乱要因とはなるまい。このため市場の眼は、米連銀による、年内の利上げシナリオに集まるだろう。ジェローム・パウエル議長が議会証言で、「個人的には」以前より景気が強いと考えている、と語ったことから、今月の利上げを含め、年4回説も広まっている。しかし「米連銀の公式見解としては」年4回の可能性を否定はしないものの、メインシナリオは年3回の利上げに据え置かれるのではないだろうか。

このためFOMCは市場の大きな波乱材料とならないと見込む。他の大きな不安要因も見出しにくい。今週の日経平均株価は、2万1500~2万2200円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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