エネルギー地産地消、ドイツは何が違うのか

3.11から7年、日本の地産地消は進まないが…

同市のシュタットベルケは市内の全電力を賄う市の100%子会社だ。電力に占める再生可能エネルギーの割合は82%で、ドイツ全体の32%を大きく上回り、原子力は同2.7%でこちらはドイツ全体の14.3%より低い数値となっている。

2030年には100%持続可能なエネルギーに切り替える方針を立てるなど、グリーンエネルギー先進都市と言える。同社は水道、熱供給、ガス、プール、バス、通信なども手掛けており、市のインフラを一手に引き受ける存在だ。

煙突は市のランドマークともいえる

昨年、同市のシュタットベルケは50周年を迎え、1年間にわたり火力発電の煙突をライトアップした。エアランゲン市は観光地というわけではないが、それでも中心市街地には古い建物が残る。シュタットベルケの社屋は市街地に近いところにあり、141mの火力発電用の煙突がそびえ立つ。近代的な高層建築は少ないため、市街地からは教会と煙突が目立つ。

ライトアップの色はいくつかのバリエーションが用意され、バレンタインデーには赤くライトアップされた。そうかと思えば3月の最終土曜日の夜、1時間だけ電気を消す国際環境キャンペーン「アース・アワー」の時にはきちんと消灯した。

火力発電の煙突をライトアップ。市民に好評を博していたが…(筆者撮影)

ドイツは都市景観をとても大切にする国である。というのも郷土の歴史や誇り、象徴として考えるからだ。そのため「そもそも、目立つところに煙突を建てたことがまちがいだ」という意見もある。しかし煙突のライトアップは大人気で、SNS上でも「今日はこんな色だ」と写真付きで頻繁に投稿される。地元紙でもよく記事になった。市民のお気に入りの夜景になったわけだ。ライトアップは2018年に入ってからも継続が望まれていた。

しかしドイツは「環境問題」を重視する国でもある。夜間のライトアップは野鳥にとってよくないと、環境団体が法的措置を講じ、ライトアップは取りやめになってしまった。しかしなおも、ライトアップ復活を望む市民が多く、地元紙でも盛んに議論されている。

煙突のライトアップは、シュタットベルケをより市民にとって親しみやすいものとし、煙突を含む発電所に対し「われわれの発電所」という意識を醸成した。ただ、こういう感覚は今に始まったことではない。

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