ダイエー赤字も、イオン効果で金利負担軽減 店舗投資の再開が可能に

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ダイエーの長期借入金の大半の返済期限は今9月。関係者によれば、シンジケート団の構成は変わらず、全額ロールオーバー(借り換え)されたという。ダイエー役員は「融資各行の残高は維持され、レートは従来の3分の1程度に低下した」と話す。計算上では、レートは100ベーシスポイント台前半になり、年間の利払い額は10億円内に収まることになる。

ダイエーはイオンとのシナジー効果の一つに「財務支援」、その実施事項として「調達金利の改善」を挙げている。今回のロールオーバーに当たっては、債務保証の設定などイオンによる支援は一切行われなかったと言うが、イオン子会社化による効果が早くも発現した模様だ。

投資再開で販売面での巻き返しなるか

ダイエーの販売力不振の要因の一つには、改装など既存店舗への投資の不足があり、その背景には同社の資金不足があった。当然、業績低迷、信用力不足の中では銀行側も追加融資を貸し渋り、ダイエーも高金利では追加借り入れを見送らなければならない事情があった。

ただ、今回のロールーオーバーとレート改定で、ダイエーもようやく投資拡充に途が開けたことになる。ダイエー役員は「投資案件を考えると、今後は借入金残高が増えるかもしれない」と明るい顔だ。実際、ダイエーの店舗は老朽化が進み、耐震化などが急務となっている。加えて村井社長は「これまでMD(マーチャンダイジング)や売り場作りのための投資がほとんどできていなかった。今後は怖れずに投資を行っていきたい」とする。

今後は、競争を増す都心部の小売業で、ダイエーの販売力が本当に回復できるのか、が最大の焦点になろう。
 

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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