ダイエー赤字も、イオン効果で金利負担軽減 店舗投資の再開が可能に

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ただ、ダイエーにとっての光明は、ようやく最後の金融問題が解決されたことだ。同社の長期借入金(8月末)は395億円。2月末は461億円だったが、約定弁済により66億円減少している。有価証券報告書によれば、長期借入金は三井住友銀行を主幹事にするシンジケートローンであり、レートは380ベーシスポイント。一部上場企業の長期借入金の大半が100ベーシスポイント未満に収まる低金利時代にあって、異例の高金利と言えた。

重荷だった金利負担は3分の1に軽減

高金利の背景にあったのは、過去の経緯とダイエーの信用力の不足だ。ピーク時に2兆円を超える有利子負債を抱えたダイエーは債務免除や債務株式化など取引銀行から度重なる金融支援を受け借入金残高を極小化させてきた。だが、それゆえダイエーは金融機関に対し強い態度で臨むことができない状態にあった。

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銀行団の厳しい姿勢もようやく緩和され・・・

また産業再生機構からの支援を経て、丸紅及びイオンの下で再建に取り組んだものの、業績は回復せず、13年2月期まで5期連続の最終赤字と赤字垂れ流しを続けてきた。イオンの子会社になる以前まで、銀行関係者は「400ベーシスポイント弱の金利であっても安すぎる。リスクに見合った金利とは言い難い」とダイエーに対する厳しい見方を隠さなかった。

一方、ダイエーにとっても、負担は重いものだった。近年、毎期30億円内外の利払いを強いられ、営業利益はカツカツの水準が続く中にあっては、それだけで経常損益、最終損益を赤字にする要因となっていた。

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