中国の経済指標の好転は本物か? 景気・経済観測(中国)

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不動産市場にも、在庫の過剰感がみられる。図表2は、住宅、オフィス、商業用店舗それぞれの在庫面積を販売面積で割った倍率である。これをみると、住宅、オフィス、商業用店舗いずれも、近年、この倍率が高水準にあることがわかる。国土が広く、多様性に富む中国ゆえ、都市ごとに置かれている状況は異なるが、中国全体でみて、不動産開発のペースを落とす必要性が高まっていると考えられる。

不動産投資に警戒、減速トレンドは続く

実際に不動産開発の勢いは弱まっている。中国の不動産市場で最も取引規模が大きい住宅市場の状況をみてみると、今年に入り、販売面積の伸び鈍化以上に、施工面積の伸び鈍化が進みつつある。在庫面積の対販売面積倍率がまだ高いことから判断して、引き続き住宅開発のスピード調整が必要だと考えられる。

これらの数字が示唆するように、不動産投資にも以前のような高い伸びを期待することは難しくなってきている。また、中国政府も不動産投資の過熱には警戒的である。それゆえ、鉄鋼業等の素材分野における生産能力の過剰感が和らぐには、まだ時間がかかるとみるのが妥当だろう。

短期的には、在庫調整圧力の緩和や海外経済の改善、小幅な景気刺激策の発動という好材料はあるものの、資本ストックの調整圧力は今後も中国経済に圧し掛かりつづける。減速トレンドが続くことを念頭においた事業計画の立案が求められよう。

伊藤 信悟 国際経済研究所主席研究員

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いとう・しんご

1970年生まれ。東京大学卒業。93年富士総合研究所入社、2001年から03年まで台湾経済研究院副研究員を兼務。みずほ総合研究所を経て18年に国際経済研究所入社。主要著書に『WTO加盟で中国経済が変わる』(共著、東洋経済新報社、2000年)、主要論文に「BRICsの成長持続の条件」(みずほ総合研究所『BRICs-持続的成長の可能性と課題-』東洋経済新報社、2006年)、「中国の経済大国化と中台関係の行方」(経済産業研究所『RIETI Discussion Paper Series』11-J-003、2011年1月)など。

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