「宇宙ビジネス」は大きな転換点を迎えている スペースXの大型ロケット打ち上げの意義

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そのリスクにもかかわらず、この産業分野への熱狂はますます増している。2016年、米国の投資家たちが宇宙関連の新興企業に28億ドルを投資したが、これは前年よりも4億ドル多い(2017年の数字はまだ出ていない)。

これは、NASAに割り当てられた政府予算195億ドルに比べればほんのわずかだ(そして、NASAの予算は、全政府予算のわずか0.5%未満である)。だが、スペースXの打ち上げは、民間企業の宇宙に対する意欲を示す強力なシンボルなのだ。

インターネットと同じことが起こる

より小さなロケットを使ってその構想の正しさを立証してからようやく、スペースXは2013年12月に自社初の人工衛星を静止軌道に乗せた。スペースXのファルコン・ロケットは、地球低軌道に物体を乗せるのに当たって、世界最低価格を提示し、その分野における競合相手にかなりのプレッシャーを与えた。

競合の中にはエアバスとサフランが過半数を出資するアリアンスペースが含まれる。アリアンスペースによると、記録的な注文に対応中だが、利益率は低いと見ている、ということだ。

費用を抑えることができれば、この先数十年で企業がさらにこの分野へ進んでいくことが容易に想像できる。おそらく、小惑星を採掘したり、金銭的にずっと大きなリスクを取る見返りに別の惑星を探査する権利を与えられたりもするだろう(ただし、月やそのほかの天体の探査及び利用に関する国際条約があることを考えると、それには正式な協定が必要かもしれない)。

これには先例がある。16世紀と17世紀、欧州の大航海時代には、多くの君主が、未知の地に進出するリスクを負うために民間会社を設立した。そのうちのいくつか、たとえばオランダと英国の東インド会社やカナダのハドソン湾会社などは、最終的に広大な領地の事実上の支配者となり、数十年、時に数百年にわたって実質的独占企業として活動した。

同じことが今起こっていると想像できる。インターネットの発明に当初関わっていた米政府だが、後になって気づいたのは、広大なサイバースペースが今ではグーグルのような民間企業に支配されているという事実だ。米政府が宇宙空間自体について同様の認識を持つまでに、そう長い年月はかからないかもしれない。

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