シンガポールが警戒、「テロは時間の問題だ」

攻撃回避に向けた取り組みを大幅に強化

内務省によれば、昨年末時点で130万台以上のデバイスにこのアプリがインストールされたという。この国の人口560万人の相当な割合だ。

テロ攻撃に備えたシミュレーション訓練も定期的に行われており、最近では、セントーサ島の児童向け施設を銃を持った覆面の男が襲うという想定の訓練が行われた。

シンガポール軍は先月、過去30年で最大規模の動員演習を実施。銃で武装した男が国立スタジアムを襲ったという想定で、省庁間の連携も確認した。

当局者は昨年、IS武装勢力が2016年前半にシンガポールで攻撃を検討していたという信用できる情報があったことを明らかにしており、この計画は未然に阻止されたという。

世界最大のムスリム人口を擁する隣国インドネシアは2016年8月、シンガポールの有名なリゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」を狙ったロケット砲攻撃を計画したとして、ISとつながりのある容疑者6人を逮捕、訴追した。

インドネシアと、シンガポール北側の隣国でムスリムが多数を占めるマレーシアは、国民数千人がISに共感しており、数百人が同組織に加わるためシリアに渡航したとみている。地域の安全保障当局者は、その多くが、中東におけるISの退潮を受けて故国に戻ってきていると話す。

2002年以降では90人近くを拘束

シンガポールは過激派勢力に対して強硬姿勢を取っており、ラジャラトナム国際研究院のビルベール・シン氏は、それがこれまでの成功の理由の1つだと語る。

当局の手法の中で、最も議論を呼んでいるのは、植民地時代に作られた、裁判なしに長期間被疑者を拘束することができる国内治安維持法(ISA)だ。

内務省は、この法律を根拠に「テロ関連」行為で現在20人を拘束しており、2002年以降では90人近くを拘束したとしている。

「ISAは素晴らしい抑止策で、これまで有効に機能してきた」と、シン氏は言う。

また、シンガポール当局は近年、過激派との関連が疑われる外国人数十人を国外退去処分にした。10月には、ジンバブエとマレーシア出身の著名ムスリム聖職者2人についても、その見識が非寛容を助長し、社会の和を乱す恐れがあるとして入国を禁止している。

(Fathin Ungku John Geddie 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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