45歳「酔うと化け物になる父」描いた女の稼業

小沢カオルはルポ漫画に気づきや学びを映す

母親はよく1人で泣いていた。

「母はとにかく感情の波が激しい人でした。人前では優しいお母さんを演じているんですが、私や妹にはとても厳しかったです。姉妹ゲンカをすると家を追い出されたりしました。泣いているかヒステリックに怒っている、そのどちらかでした」

母親は小沢さんが小学校高学年のときにガンになり手術をした。内性器を取り除いたため、急に更年期障害のような状態になってしまった。そのため、ますます不安定になった。

そして小沢さんが中学2年生のとき、母親は自殺した。

「母が亡くなってその宗教とは縁が切れました。脱退届など出したわけではないので、名簿にはいまだに名前が残ってるかもしれませんが……。

そこからは片親の生活がはじまりました。母の死後は近所の人たちは家にはやってこなくなったものの、近場のスナックに集まって飲むようになりました。父は土日にはやっぱり意識を失うまでベロベロに酔いました」

トントン拍子でプロの漫画家になれたが…

小沢さんは、1人自室で誰に読ませるわけでもない漫画を描き続けていた。

「高校を卒業して、さてどうするかってなったんですけど……。特に学びたいこともないのに大学に行くのもばからしいなと思ってやめました。就職先も考えず、特に何も考えないで卒業しました」

卒業後はアルバイトをしながらフラフラとした生活を送っていた。

22歳のころ、友達の家に置いてあった『ヤングマガジン』(講談社)をパラパラと読んでみるとすごく面白かった。誌面では新人漫画賞の作品を募集していて、賞金の最高額は100万円だった。

「私、漫画描いてるから、この賞取れるじゃん!!」

と安直に思った。さっそく文房具屋に行き、ケント紙、Gペン、スクリーントーン……など、本格的に漫画を描く道具を買ってきた。

描き終えて応募してみると、一番下の賞に引っかかり5万円の賞金をもらった。

100万円取るつもりだったので少し残念だったがそれでも「いけるじゃん」という手応えがあった。もう一度出すと、佳作に入選し30万円をもらった。

そうして『ヤングマガジン』で初の担当編集者がついたのだが、男性向けのヤング漫画誌ではうまく企画がまとまらなかった。

そこで少女漫画雑誌『プリンセス』(秋田書店)の賞にも応募する。するとこちらでも賞が取れた。『プリンセス』でも担当編集者がつき、原稿を持っていったらデビューできた。

次ページ初連載はすぐに打ち切りに…
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