75歳以上「後期高齢者」のコストは削減可能だ

社会保障費は人口変動を踏まえて決めるべし

これを受けての今夏の「骨太方針2018」である。本連載の拙稿「『年収850万円超の人は増税』がなぜ妥当か」で詳述したように、12月8日に「新しい経済政策パッケージ」として、基礎的財政収支黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持すること、そしてその達成時期と実現するための具体策を「骨太方針2018」に盛り込むことについて、閣議決定がなされた。だから、安倍内閣として基礎的財政収支黒字化を財政健全化目標とするのをやめることはできないし、それを実現するための議論を怠るわけにはいかないのだ。

では具体策の内容をどうするか。もちろん、これからの半年弱で、2020年代にまたがる社会保障をはじめとする諸改革の仔細を事細かく決めることは難しい。そうなると、消費税率を10%超とはしないなら、前掲した「歳出改革の目安」のように、どの程度に歳出を抑制できれば財政健全化目標が順調に達成できるかについて、メドをつけなければならない。

その歳出抑制の要は、やはり社会保障費にならざるを得ない。政策的経費である一般歳出の半分以上を社会保障費が占めており、社会保障費で何もできなければ、歳出抑制は実効性を失うからだ。

ならば、2016~2018年度に「3年間で1.5兆円」という目安を達成できたのだから、今後も「3年間で1.5兆円」、つまり「自然増を年5000億円に抑える」という目安で、社会保障関係費を抑制しようという話になるのだろうか。

「自然増を年5000億円に抑える」のは、かなり困難だという見方がある。というのは、団塊世代が2022年度から順に75歳以上の”後期高齢者”となり、社会保障費がますます増えると予想されているからだ。2025年度に団塊世代は全員75歳以上となる。75歳以上人口の増加率は、2022~2024年度にかけて、年率約4%と近年にない高い水準となる。

75歳以上の医療費は64歳以下の5倍!

75歳以上となると、1人当たりの医療費も介護費も、それより若い年齢層より格段に多く必要となってくる。年間の1人当たり医療費(2014年度)は、64歳以下で平均約18万円なのに対し、75歳以上は平均約91万円と約5倍。年間の1人当たり介護費(2014年度)は、介護サービスが受けられる65歳以上74歳以下で平均約5.5万円なのに対して、75歳以上は平均約53.2万円と約10倍だ。このように、75歳以上人口が増えると、社会保障費が増大することが予想される。

2022年度からは、団塊世代が順に75歳以上となる時期と、財政健全化を図る時期とが重なる。これでは社会保障費を抑制できないのではないか。そんな時期に「自然増を年5000億円に抑える」という目安を社会保障費で置くのは乱暴だ。そんな見方がある。

が、確かに2022~2024年度はその通りだが、直前の2020~2021年度は、むしろかつてないほど、高齢者人口の増加率が小さくなる時期でもあるのだ。全体の人口が減る中、高齢者がほぼ増えないなら、社会保障費はほぼ増えない。2020年度と2021年度は、医療や介護の単価(診療報酬や介護報酬の単価)が同じならば、高齢者人口もほぼ同じだから、逆に「自然増を年5000億円」も必要としない、可能性が高い。

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