「ほっともっと」の出店が大幅遅延する理由 今年度の出店数は期初見通しの半分以下に

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プレナスは2020年にほっともっとの店舗数を3000店舗(現状約2700店舗)にする中期計画を掲げている。今期の出店動向に加え、「毎年50店前後の退店が自然に出てくる」(一條執行役員)ことを考慮すると、計画達成はハードルが高いように見える。

この出店計画の遅れは、成長戦略の根幹が揺らぐことを意味する。プレナスは約80億円を投資し、埼玉県北葛飾郡に建物面積約8500平方メートルもの大型工場を建設中。物流センターを併設し、ほっともっとなどの商材を生産・供給する戦略工場で、2018年12月のフル稼働を目指す。2017年8月には、顧客データと店頭の購買データを分析できるシステム「ID-POS」をほっともっと全店に導入するなど、店舗への投資も進めてきた。

競争が激化する中食市場

こうした新工場や店頭システムへの投資をテコに、製販一体となったサプライチェーンマネジメントを構築し、「製造小売りチェーン」への転換を図る構えだ。ただ、この中期構想は、あくまでも積極出店によるスケールメリットの発現を前提としたものだ。

ほっともっとと同じグループの定食店「やよい軒」も苦戦が続いている(編集部撮影)

プレナスは足元の業績も降下している。今2018年2月期は増収増益を見込んでいたが、1月12日に通期計画の下方修正を発表。売上高1466億円(前期比4%増)、営業利益54億円(前期比24%減)と、一転して減益となる見通しだ。

ほっともっとに加え、同じグループの定食店「やよい軒」の既存店売上高も前期割れする公算が大きい。コメなど食材の価格高騰や人件費上昇も響く。

新店計画の遅れや業績悪化の背景には、競争の激化がある。弁当などの中食市場が拡大する中で、コンビニやスーパー、ドラッグストアなどは「持ち帰り需要」を狙った商材を拡充している。「高級商材を扱っている中食企業ならば差別化を図れるが、プレナスの弁当の価格帯だと、コンビニとまともにバッティングする」と、競合の中食チェーンの幹部は語る。

状況は厳しさを増しているにもかかわらず、「プレナスはコンビニなど他社の動きを注視していなかった」(前出の社内関係者)との指摘もある。新勢力の台頭といった外部環境の変化を再吟味し、早期に店舗戦略を練り直す必要がありそうだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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