中国人女性が「高級コスメ」を買いまくる必然

訪日中国人の化粧品購入率はダントツだ

一方の都市部では、一人っ子政策が実施され、しかも妊娠したとき、胎児の性別を教えないようにしているので、男の子でも女の子でも、親にとって、唯一の宝物になる。一人っ子政策の後に生まれた都市部の80後(バーリンホウ、1980年代生まれ)、90後(ジューリンホウ、1990年代生まれ)の子どもたちは、「重男軽女」という古い思想に影響されず、男女ともに家族に大事に育てられた。

また、1978年に中国は改革開放し経済状況が飛躍的に良くなったことや、「(期待が大きい)男の子は厳しく育てるが、女の子ならのんびり育ってほしい」という考えもあり、ほとんどの80後、90後の都市部の女性は、恵まれていたといえる。

中国では、教育熱心な親が多いので、娘たちは良い教育を受けられたし、独立しないといけないというプレッシャーもなく、おカネに困ったことはない。大学留学の時、周りの日本人学生がアルバイトをするところ、親が喜んで学費や生活費を仕送りしている。

帰国して就職しても、地元を離れないかぎり、結婚するまで実家暮らしは普通で、自分の給料は小遣い。祖父母や親戚からは日本とは一ケタ違うお年玉やプレゼントをもらうのも珍しくない。なぜかと言うと、女の子でも、家族にとって大事な子どもであるからだ。

このようにすくすくと育てられた80後、90後の都市部女性達は、良い教育を受け、留学経験者も多く、自分の親の世代よりずっと世界とシンクロしており、はるかに洗練されている。自分への投資や出費を惜しまないし、「ぜいたくしている」という「罪悪感」もあまりない。これにより高級化粧品の購入に対する心理的なハードルが極めて低くなっている。

そして、小遣い相当の給料に家族からの「補助」、教養があるのでバリキャリ(バリバリ働くキャリアウーマン)になれば手厚い報酬をもらえる。高級化粧品を購入するおカネも十分にあるのだ。

「高いものこそが良いもの」だ

十数年前の、中国の富裕層の消費観念を揶揄する映画のセリフがとても有名だ。「高いものを買うが、正しいものを買わない」。これは今でも通用している考えだ。スキンケア、メークアップといった舶来品は、80後、90後達の親にとって、なじみもなく知らないものばかりであり、何がいいのかはわからないものである。結果、80後や90後は日本人女性のように母親から化粧品の使い方を学ぶことができなかったのだ。

彼女たちの親世代は、政治運動を経験し、経済的に貧しかった。すっぴんがいちばんと称される時代だったので、スキンケアは限られたブランドの安いクリームで済ませ、メークアップはなかった。なぜなら、中国の古来からの養生思想では、体に化学成分を塗ることは毒を塗ると同じと考え、化粧品に抵抗感があるからだ。

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