「逗子ストーカー殺人」被害者の兄が語る課題 「情報漏えい」問題はその後どうなったのか

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昨年11月、京都府警はストーカー事件に特化した『京都ストーカー相談支援センター』を開設した。

「ストーカー被害に対し総合的な取り組みを行うのは全国初ではないでしょうか」

そう話すのは、同府警生活安全対策課子どもと女性を守る対策室の西田勝志室長。被害者本人以外でも、友人や親、学校の先生や関係機関も相談できる窓口の広さは合理的で、公費負担で加害者の治療支援も行っていく。

「治療費が自己負担だとなかなか治療に結びつかない。府警では提携医療機関で、最大5回まで公費で受診できる。現時点で6人に治療をすすめ、3人が治療を受けています。すでに治療を終えた方もいますが、こんなに変わるものなのかと私も驚きました」(前出・西田室長)

芝多さんも「加害者の治療が本当の意味でのストーカー対策」という認識を持ち、

「警察は真剣に取り組んでくれていますが、司法などとも協調していかなければ」

とさらなる改善を期待する。

前出の小早川理事長も、ストーカー対策のゴールは、「加害者を無害にすること」と、治療の大切さ、カウンセラーとの面談の義務化など司法と医療の連動を訴える。

調査会社業界の新たな試み

逗子ストーカー殺人事件では、結果として犯罪に手を貸すことになった調査会社業界でも新たな試みが。

今年1月、ホームページ『SAVE ME』がスタートした。調査会社JCIの代表、宮岡大さんが立ち上げた。

「(現住所を調べてほしいという)ストーカーの依頼は、基本的に被害者の前住所を示すことが多いのです。ストーカー被害に遭っている人に、前住所の情報を登録してもらい、調査会社で共有すれば、依頼がストーカーからのものか判別することができます」

と、ストーカーの特性を逆手に取ったシステムで、すでに40社の調査会社が加盟しているという。

「全国で届け出がなされている調査会社は約5500社です。業界内でいちばん大きな団体の協力や警察との連携も考えていきたい」と宮岡さん。

調査会社を通して現住所を知ろうとするストーカーが存在する以上、調査会社が事件の防波堤になりうるケースもあり期待はできるが、効果は互いの連携にかかる。情報セキュリティーの強化、法改正、警察の対応、加害者の根本的な治療など、社会全体の取り組みこそが重要で、ストーカーを無害化することがますます求められる。

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